JpGU-AGU Joint Meeting 2020

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[O-06] キッチン地球科学:手を動かす実験で頭脳を刺激しよう!

コンビーナ:熊谷 一郎(明星大学理工学部)、久利 美和(気象庁)、市原 美恵(東京大学地震研究所)、栗田 敬、座長:熊谷 一郎(明星大学理工学部)

[O06-01] ウレタン火山噴火実験の発案とその改良

*千葉 達朗1有安 恵美子1 (1.アジア航測株式会社)

キーワード:発泡ウレタン、火山噴火、爆発

1.導入
発泡ウレタンを使用した、火山噴火実験を考案した。その後、4年間にわたって改良を続けてきた。ここではその原理と手法の詳細について紹介し、教室や野外での実験のポイントについて紹介する。
2. 発泡
マグマには、揮発性成分(H2OやCO2などの火山ガス)が含まれている。マグマが地下深部にあるときは、高温・高圧のために溶け込んでいるが、上昇に転じると、減圧のために気化し気泡となり、上昇するにつれさらに膨張する。気泡が大きくなるとみかけ密度が低下、加速度的に上昇し、ついには火口から噴出する。これが火山の噴火のしくみである。そのため、固化した溶岩には多数の気泡が含まれていることが多い。火口から大気中に放出される際には爆発を伴うことも多く、火山噴火の実験は危険で困難である。また、マグマの膨張にともない、隆起などの地殻変動も発生するが、その状況をアナログモデル実験で再現することは難しいことであった。また、気泡の成長が噴火の主因であることも、なかなか理解しにくい点であった。
3. 硬質発泡ウレタン
発泡ウレタンは、木造住宅の断熱工事や、空洞充填剤として広く使用されている。特に、2液性硬質発泡ウレタンは、2液を混合してから5分程度で固化し、その間に体積が約50倍に膨張する。その後、長期にわたって変化しない安定な建築材料である。ハンドミキシング法は、JIS規格にも採用されている手法で、容器内に2種類の発泡原液を同量投入して撹拌することで、発泡させるというものである。今回、容器として壁面に凹凸のある口の狭い容器を使用することにより、効率的に発泡させ、安定した気泡流を簡便に噴出させることに成功した。また、噴出したウレタンは、空気中では単純に垂下するが、粉体中では浮力で上昇する場合があることを発見して、この一連のアナログモデル実験を考案した。
4.実験
最初に、普通のビールカップ内で膨張させ、高い膨張率を印象づける。次に、同量のウレタンを一輪挿し中で発泡させ、出口の断面積が10分の1になれば、速度は10倍になることを理解してもらう。次に、空気中では単純に垂れ下がる状況を見せたあと、バケツに入れた各粉体の最下部で発泡させる。周りがスチロールビーズの場合は、出口の周囲に球形の発泡体が出現する。まわりが、ウレタンよりみかけ密度の大きい猫砂中では、ウレタンは上昇し、表面に溶岩ドームを生じる。その直前には地殻変動も観察できる。コルク栓の使用で、爆発的な噴火を再現することも容易である。
5.最後に
2017年5月にJPGUのアジア航測のブースで実演を行ったのが最初で、その後、東大地震研の一般公開をはじめ、静岡大学、東京理科大の集中講義や教員研修などの実践をおこなってきた。発表では具体的な事例を紹介したい。

参考サイト(実験マニュアル)
http://uretan-eruption.blogspot.com/2017/10/1.html