[PCG24-05] DESTINY+搭載小惑星追尾駆動鏡の試作と初期性能試験
キーワード:フライバイ、小天体、追尾駆動鏡、DESTINY+
深宇宙探査技術実証機DESTINY+(Demonstration and Experiment of Space Technology for INterplanetary voYage, Phaethon fLyby and dUst Science)はふたご座流星群の母天体と考えられている小惑星(3200)ファエトンを近接フライバイし、地表面の高解像度撮像を行う予定である。探査機には2種類のカメラ、可視光の単色バンドで小惑星を追尾しながら高解像度地形撮像を行う望遠カメラTCAP(Telescopic CAmera for Phaethon)、と低空間解像度だが可視から近赤外のマルチバンド撮像を行うカメラMCAP(Multiband CAmera for Phaethon)の搭載が予定されている。TCAPでは、最接近の約7時間前からファエトンの撮像を行うが,特に距離500 kmでの最接近を含む約9分の間に、最高空間解像度3.5 m/pxで1秒間隔の高空間解像度撮像を計画している。フライバイ撮像でのカメラの撮像方向は一般的には探査機本体の姿勢制御で決められるが、DESTINY+では小惑星ファエトンの特異な軌道のため、相対速度30 – 40 km/sという非常に速いフライバイを行う必要があり、探査機本体の姿勢制御だけでは、小惑星を視野内に収め続けることができない上に、撮像した画像がぶれてしまうため達成される空間解像度も大幅に低下してしまう。そのため、高速フライバイ中に自律的に小惑星を視野内に収め続け、かつぶれのない高解像度画像を取得するような小惑星追尾機構がTCAPに要求される。そこで私たちはTCAPの追尾機構設計の概念検討、および追尾機構を適切に駆動するための制御アルゴリズムの検討を実施している。さらに概念検討で得られたデザインを実証するため、追尾機構において中心的な機能を果たす駆動鏡の試作機(BBM)を作製した。BBMは鏡、ステッピングモータ、減速機およびそれらを制御するFPGA基板から構成される。BBMの地上試験によって、指向精度と追尾精度が概ね要求仕様を満たすことを確認した。