JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG24] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

コンビーナ:吉岡 和夫(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、笠原 慧(東京大学)、小川 和律(宇宙航空研究開発機構)、尾崎 光紀(金沢大学理工研究域電子情報学系)

[PCG24-15] 新型プラズマ波動観測器に向けたアナログ集積回路の開発

*頭師 孝拓1小嶋 浩嗣2 (1.奈良工業高等専門学校、2.京都大学)

キーワード:プラズマ波動、特定用途向け集積回路

近年、観測対象の多様化や小型衛星の進歩により衛星搭載機器の小型が求められており、プラズマ波動観測器についても同様である。我々は、プラズマ波動観測器の小型化のため、従来大型になりがちであったアナログ回路の集積化に取り組んできた。近年のプラズマ波動観測器として、FFTを用いた方式が多く用いられている。この方式の観測器は、広帯域のアナログ回路を用いて波形を取得し、時間波形もしくは波形からオンボードで計算された周波数スペクトルを観測モードに応じて地上に伝送する。この方法は、時間波形と周波数スペクトルの観測を一種類のアナログ回路で実現できるため、小型化が可能であるという利点がある。一方で、周波数スペクトルを得る際に広帯域なアナログ回路を用いると、回路のゲインを最も強い周波数の成分に合わせて設定する必要があるという欠点を抱えている。我々は、このような欠点を解消できる観測器として、上側および下側のカットオフ周波数に自由度を持たせたアナログ回路を用いた受信器を提案する。これにより、波形を観測する際は広帯域で、周波数スペクトルを観測する際は狭帯域で測定することが可能となる。さらに、このようなアナログ回路を特定用途向け集積回路(ASIC)によって開発することで、小型かつ高性能なプラズマ波動観測器を実現できる。
本研究で提案するアナログ回路は、主に帯域制限フィルタ、メインアンプ、アンチエイリアシングフィルタから構成される。帯域制限フィルタはバンドパスフィルタ(BPF)とローパスフィルタ(LPF)が選択可能な構成とし、上側のカットオフ周波数を1 kHz, 10 kHz, 100 kHzから、またBPFとして動作する場合は下側のカットオフ周波数を1 kHz, 10 kHzから選択することができる。メインアンプは0 dB, 20 dB, 40 dBからゲインを選択可能とする。アンチエイリアシングフィルタも帯域制限フィルタと同様にカットオフ周波数を1 kHz, 10 kHz, 100 kHzから選択可能な構成とする。これらの制御を観測器のディジタル部から行い、波形補足型、スペクトル型の両方を一つのアナログ回路で構成することが可能となる。発表においては、新型観測器用アナログ回路の設計および性能の詳細について述べる。