JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG24] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

コンビーナ:吉岡 和夫(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、笠原 慧(東京大学)、小川 和律(宇宙航空研究開発機構)、尾崎 光紀(金沢大学理工研究域電子情報学系)

[PCG24-17] 太陽系探査を目指した小型イオントラップフーリエ変換型質量分析器の開発

*川島 桜也1笠原 慧1斎藤 義文2横田 勝一郎4平原 聖文3杉田 精司1 (1.東京大学、2.宇宙科学研究所、3.名古屋大学、4.大阪大学)

キーワード:高分解能、Orbitrap、探査、質量分析器、開発

惑星探査のその場観測において,質量分析器は重要な役割を果たしてきた.特に高分解能質量分析器(m/Δm>10,000)から得られる同位体組成の情報は,太陽系天体の進化を議論する上で不可欠である.ただし過去に探査機搭載実績のある高分解能質量分析器は一辺が1m程度の大型装置であり,リソースの問題から搭載機会が強く制限される.そこで本研究では,近年,室内実験で用いられるようになってきたイオントラップフーリエ変換型質量分析の原理(OrbitrapTM)に着目し,高質量分解能(m/Δm > 10,000)を手のひらサイズで実現することを考えた.まず数値シミュレーションによる設計に着手し,小型であっても原理的に高分解能が達成可能であることを明らかにした.この設計では,イオンを集中して分析部に投入するデバイス(イオン注入部)を分析部と別に完成することが重要となるが,本研究では共振器の原理を用いてこのイオン注入部を新規に設計・試作した.またイオン注入部の実機試験を行い,真空度依存性や溜め時間依存性を検証することで性能を実証した.さらに本研究では,すでにイオン注入部と分析部を接合した試験にも着手している.今回の発表では,これらの実機試験の内容について詳しく説明する.