JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG24] 宇宙・惑星探査の将来計画および関連する機器開発の展望

コンビーナ:吉岡 和夫(東京大学大学院新領域創成科学研究科)、笠原 慧(東京大学)、小川 和律(宇宙航空研究開発機構)、尾崎 光紀(金沢大学理工研究域電子情報学系)

[PCG24-P11] 将来の惑星探査に向けた高エネルギー電子観測器のASIC開発

*菅生 真1笠原 慧1池田 博一2小嶋 浩嗣3頭師 孝拓4菊川 素如3浅村 和史2 (1.東京大学、2.宇宙航空研究開発機構、3.京都大学生存圏研究所、4.奈良工業高等専門学校)

キーワード:ASIC、高エネルギー電子、観測器

太陽系の電子の起源は太陽風および惑星・衛星の電離大気であり、その典型的なエネルギーは1 eV以下、高くとも1 keV程度である。それにもかかわらず、数十 keV以上のエネルギーを持つ高エネルギー電子が太陽系のあらゆる惑星磁気圏で観測されており、それらの一部は惑星大気へ降り込んで大気にエネルギーを与えると考えられる。しかし観測例の少ない外惑星やその衛星では高エネルギー電子の大気への影響の評価は難しい。この電子フラックスは必ずしも等方的ではなく、今後の観測で大気への影響を定量的に評価するには広い立体角をカバーする必要がある。そこで我々は将来の惑星探査を念頭に、衛星スピンに依存しない半球状の視野を持つ高エネルギー(~10-100 keV)電子観測器を開発している。ペイロード重量制限の厳しい惑星探査に向けて、本研究では特に電子検出信号処理部をASIC (Application Specific Integrated Circuit)化することで、コンパクトな観測器の実現を目指している。我々の電子観測器の電子検出信号処理回路は前置増幅回路、波形整形回路、ピークホールド回路、比較回路、AD変換回路で構成されている。我々は、想定している検出器(Avalanche Photodiode, APD)が増幅率を内蔵し、大きな容量を持つ特性を考慮して、エネルギーに関するダイナミックレンジ 106 e-・波形整形回路のピーキングの時定数 ~1 μs となるような回路設計を行い、シミュレーション上での動作を確認した。さらにこのASIC回路の素子配置設計を行い、5 mm四方のチップに搭載可能であることを確認した。このサイズはASIC化する前の基板サイズ(70 mm × 30 mm)に比べて約100 分の1のサイズであり、このサイズを基に高エネルギー電子観測器の機器構造を変更すると半分(1.5kg程度)の軽量化が見込める。