[PCG25-09] 多波長分光撮像・偏光観測による木星極域ヘイズ・雲活動の特徴
キーワード:木星、偏光観測、地上望遠鏡
偏光観測は惑星表層や大気の粒子特性の決定に有効な手法であり,木星の大気ダイナミクスと粒子種の特定を目的とした偏光観測がこれまで多く行われてきた。先行研究では木星の緯度による偏光度の違いを示している[McLean et al.,2017, Schmid et al., 2011]が,この偏光度の地域的な違いを数時間から数日という短期間で追跡した観測例は行われておらず,粒子特性の時間的な変動を十分に議論できていない。本研究の目的は北海道大学が所有する口径1.6 mのピリカ望遠鏡を使用し,多波長の分光撮像観測に加えて偏光撮像観測を行うことで,木星大気上層の運動と粒子特性の変化を捉え,両者の比較を行うことで大気の対流機構を調べることである。
今回,2019年5月から8月までのピリカ望遠鏡に搭載された可視光マルチスペクトル撮像観測装置(MSI)(ピクセルスケール = 0.39”/pix)による,650 nm,727 nm,889 nmのバンドパスフィルターを用いたスペクトル撮像観測,偏光撮像観測の結果とその解析結果を紹介する。メタン吸収波長である727 nm,889nmの撮像ではそれぞれ木星大気最上層に位置する雲やヘイズ層が明るく見え,散乱光の割合が増加するため高い偏光度を示す。ピリカ望遠鏡に搭載されている液晶可変フィルターLCTFは直線偏光子として用いることで偏光観測が可能である。2019年5月22日(観測経度約120-270度),6月24日(0-180度)における,異なる半波長板の回転角度で取得した4枚1セットの画像から求められたストークスパラメータの分布は先行研究に矛盾しない緯度依存性を示した。本研究ではスペクトル撮像と偏光観測の同時取得と高頻度の観測による時間的な変動を追跡するために,1日おきに連続したデータの取得が望ましいが,2019年の観測では,まとまった数日分の連続したスペクトル撮像データが取得できた一方で,気候条件の制約から偏光撮像データの取得はおおよそ2-3日おきであった。よってこれまでの観測では木星大気の水平面での変化と偏光度を比較するには十分なデータが得られていないが,2020年3月から始まる観測シーズンではこの反省を踏まえた計画的な観測を実施する予定である。本講演では,得られ得た初期結果と今後の観測計画について詳細を報告する。
今回,2019年5月から8月までのピリカ望遠鏡に搭載された可視光マルチスペクトル撮像観測装置(MSI)(ピクセルスケール = 0.39”/pix)による,650 nm,727 nm,889 nmのバンドパスフィルターを用いたスペクトル撮像観測,偏光撮像観測の結果とその解析結果を紹介する。メタン吸収波長である727 nm,889nmの撮像ではそれぞれ木星大気最上層に位置する雲やヘイズ層が明るく見え,散乱光の割合が増加するため高い偏光度を示す。ピリカ望遠鏡に搭載されている液晶可変フィルターLCTFは直線偏光子として用いることで偏光観測が可能である。2019年5月22日(観測経度約120-270度),6月24日(0-180度)における,異なる半波長板の回転角度で取得した4枚1セットの画像から求められたストークスパラメータの分布は先行研究に矛盾しない緯度依存性を示した。本研究ではスペクトル撮像と偏光観測の同時取得と高頻度の観測による時間的な変動を追跡するために,1日おきに連続したデータの取得が望ましいが,2019年の観測では,まとまった数日分の連続したスペクトル撮像データが取得できた一方で,気候条件の制約から偏光撮像データの取得はおおよそ2-3日おきであった。よってこれまでの観測では木星大気の水平面での変化と偏光度を比較するには十分なデータが得られていないが,2020年3月から始まる観測シーズンではこの反省を踏まえた計画的な観測を実施する予定である。本講演では,得られ得た初期結果と今後の観測計画について詳細を報告する。