[PCG25-P05] 火星大気微量分子の0.4-1.9 THz帯ヘテロダイン分光を想定した放射輸送シミュレーション
キーワード:火星、惑星大気、ヘテロダイン分光、テラヘルツリモートセンシング
本研究では、火星周回機からのナディアとリムサウンディングの観測を想定し、0.4-1.9 THz帯ヘテロダイン分光による微量分子の放射輸送シミュレーション/ラインサーベイを行った。ヘテロダイン分光は、周波数高分解能の特徴があり、リムサウンディングを実施することで、火星大気の表層近傍から高度100 km付近までの基本的な温度や微量分子の密度とその同位体(CO, 13CO, C18O, C17O, H2O, HDO, H218O, H217O, 18OCO, H2O2, HO2, O3, O2 など)の高度分布の観測が可能である。特に、太陽のような背景光源が不要のため、昼夜・朝夕等のlocal timeを問わず観測が可能である。また、この波長域はダストの吸収・散乱の影響を受けにくいため、赤外線などでは観測が難しい、火星のダストストーム時の表層付近を見通しやすい特徴がある。さらに、大気のドップラーシフトを捉えることで、大気の速度場を計測することも可能ある。これらにより、火星における光化学反応を軸にした酸化反応ネットワークや、表層から高層に至る水を中心とした季節・日周の変化に関わる物質循環の3次元情報が得られ、低層の資源・環境探査から高層の大気散逸までを繋ぐユニークな役割を果たすことができると期待される。
現在、国内では小型あるいは中型の衛星を想定した Mars Aqueous environment and Space Climate Orbiter (MACO)プロジェクトのWGが立ち上がり、火星周回機による探査計画の議論も進んでいる。本研究では、オプションとしてTHzヘテロダイン分光器が搭載されるケースを想定した観測周波数の選定も行った。アンテナの口径は35 cm、分光計は自己相関型のデジタル分光計による帯域8 GHz、分解能が1 MHzを想定した。ヘテロダイン検出器には常温のショットキーバリアダイオードミクサーを利用し、スペクトルにはそのショット雑音を考慮した。例えば0.9 THzを選んでDouble Side Band観測した場合、一度に13CO, C18O, C17O, H2O, HDO, 18OCO, H2O2, HO2, O3を観測でき、高度分解能は6 km以内が実現可能である。100 km付近までの高層のH2Oを観測する場合は、専用の観測周波数に切り替えることで対応が可能である。リムサウンディングによって得たデータをどこまで機上処理し、ダウンリンクするかは、今後の重要な検討課題である。
本講演では、これら一連のシミュレーション結果について報告する。
現在、国内では小型あるいは中型の衛星を想定した Mars Aqueous environment and Space Climate Orbiter (MACO)プロジェクトのWGが立ち上がり、火星周回機による探査計画の議論も進んでいる。本研究では、オプションとしてTHzヘテロダイン分光器が搭載されるケースを想定した観測周波数の選定も行った。アンテナの口径は35 cm、分光計は自己相関型のデジタル分光計による帯域8 GHz、分解能が1 MHzを想定した。ヘテロダイン検出器には常温のショットキーバリアダイオードミクサーを利用し、スペクトルにはそのショット雑音を考慮した。例えば0.9 THzを選んでDouble Side Band観測した場合、一度に13CO, C18O, C17O, H2O, HDO, 18OCO, H2O2, HO2, O3を観測でき、高度分解能は6 km以内が実現可能である。100 km付近までの高層のH2Oを観測する場合は、専用の観測周波数に切り替えることで対応が可能である。リムサウンディングによって得たデータをどこまで機上処理し、ダウンリンクするかは、今後の重要な検討課題である。
本講演では、これら一連のシミュレーション結果について報告する。