JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG26] アルマによる惑星科学の新展開

コンビーナ:長谷川 哲夫(自然科学研究機構 国立天文台)、武藤 恭之(工学院大学 教育推進機構)、飯野 孝浩(東京大学情報基盤センター)、下条 圭美(国立天文台)

[PCG26-P03] 焼結したダストの正面および斜め衝突の3次元数値シミュレーション

*田中 秀和1奥住 聡2和田 浩二3 (1.東北大学、2.東京工業大学、3.千葉工業大学)

キーワード:惑星形成、原始惑星系円盤、焼結ダスト

ALMAにより明らかにされた多数の原始惑星系円盤におけるリング状の間隙構造は焼結したダストの衝突合体を起こしにくい性質により形成されたとする説が提唱されている。また最近のALMA偏光観測より円盤ダストは比較的密な構造を持つことが示唆されている。このような密なダストは衝突跳ね返りを繰り返すことでつくられると予想される。従来研究により焼結したダストは衝突跳ね返りを起こしやすいことが示されているので、この点でも焼結したダストの衝突現象は重要となっている。
本研究では、焼結したダストアグリゲイトの衝突を3次元数値計算で調べた。焼結したダストの衝突数値計算は城野と上野 (2017) により行われており、主に衝突するダストの接触点数によって衝突合体や跳ね返りの条件が左右することが示されている。しかし、彼らの計算は、2次元計算かつ正面衝突のみと限定されたものであった。本研究では、3次元計算で斜め衝突を考慮する等の拡張を行い詳細に調べた。
衝突させる初期ダストとしては、接触点数に対する依存性を調べるため、接触点数の少ないBPCA構造のダストと接触点数が多いBAM1と呼ばれるダストを用いた。さらに中程度の接触点数をもつ初期ダストとしてBPCAダストの衝突で生成したものも用いた。数値計算の結果、初期ダストの接触点数が増加により衝突合体より跳ね返りが卓越する傾向がみられ、定性的には城野と上野 (2017)の結果と一致している。跳ね返りが卓越する条件は、ダストの構成粒子1つに対する接触点数が3以上であることも分かった。したがって、ダスト合体成長の際に1粒子当たりの接触点数がどう進化していくのかも明らかにすることが必要でなる。これに関しても、本研究のダスト数値計算における接触点数に関する結果をもとに議論する。