JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG26] アルマによる惑星科学の新展開

コンビーナ:長谷川 哲夫(自然科学研究機構 国立天文台)、武藤 恭之(工学院大学 教育推進機構)、飯野 孝浩(東京大学情報基盤センター)、下条 圭美(国立天文台)

[PCG26-P06] 非対称な原始惑星系円盤を持つ V1247 Ori におけるダスト成長

*後藤 光希1深川 美里2武藤 恭之3 (1.東京大学、2.国立天文台、3.工学院大学)

キーワード:原始惑星系円盤、電波観測:惑星系、不透明度

原始惑星系円盤での惑星形成においては、ダストが微惑星サイズに成長すると中心星に落下してしまうという問題が知られている。その解決策として、円盤中に局所的な高圧領域が生じ、圧力勾配によってダストが集められて(ダストトラップ)中心星への落下が食い止められるという仮説が提唱されている。また、そのダストトラップではダストの付着成長が促進され、微惑星が形成されやすいと考えられている。しかし、ダストトラップが示唆される原始惑星系円盤で詳細な観測が行われた例は少なく、ダスト成長の確認や高圧領域の発生機構の議論が不足している。
Herbig Ae 型星 V1247 Ori では、ALMA を用いた波長 870 μm 帯の連続波観測により、半径約 54 au のリングと、 中心星から約 120 au、方位角- 40◦ から 80◦ に位置する三日月状構造 (クレセント) とで構成される非対称な原始惑星系円盤が確認されている。先行研究では、リングとクレセントの間のギャップに存在する仮想的な惑星を起因として、クレセント全体とリングの南東部にダストトラップが生じている可能性があると指摘されている。そこで我々は、ALMA で取得された V1247 Ori の波長 2.1 mm 帯と 870 μm 帯のアーカイブデータを用いて、空間分解能 0.09” (29 au) の連続波イメージを作成し、opacity index β を算出して円盤中のダストサイズ分布を評価した。波長 870 μm 帯では、観測の追加により先行研究に比べて約 2.7 倍高いシグナル・ノイズ比を達成した。解析の結果、先行研究の示唆とは異なり、クレセントの北側のみで β が他の領域よりも小さい(β ∼ 1)、すなわちダスト成長が示唆されることが分かった。本講演では V1247 Ori の非対称円盤におけるダストトラップ候補の性質(面密度等)や成因を議論する。