JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-CG 宇宙惑星科学複合領域・一般

[P-CG27] 宇宙における物質の形成と進化

コンビーナ:野村 英子(国立天文台 科学研究部)、大坪 貴文(宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)、三浦 均(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)、瀧川 晶(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)

[PCG27-04] 星間カーボンダストの実験室での模擬合成と赤外スペクトル分析

*太田 憲雄1Li Aigen2Nemes Laszlo3大塚 雅昭4 (1.筑波大学、2.University of Missouri、3.Hungary academy of science、4.京都大学)

キーワード:星間ダスト、グラフェン、フラーレン

星間の炭素ダストとしてサッカーボール状のフラーレン(C60)がよく検討されている。一方、平面構造の炭素グラフェンからフラーレンが合成できることもよく知られており、星間での存在が期待される。今回地上での模擬実験により炭素ダストの特定を検討した。恒星の爆発時には激しい光がダストに照射される。そこでバルクグラファイトにNdYAGレーザを照射して炭素クラスタを生成した。図(A)に測定した赤外スペクトル(IR)を示す。このIRに対応する候補分子を量子化学計算により検討した。その中で、炭素5員環一個と6員環6個からなる(C23)分子が近似的なIRを示した(B)。このグラフェンはレーザ照射により炭素欠陥が生じるとともに、バルクグラファイトから剥離されたと考えられる。さらに天文観測とも比較した。惑星状星雲のTc1とLin49で観測されたスペクトルを(C)に示す。分子(C23)の計算IRと良く合致している。惑星状星雲でよく観測される18.9ミクロンと17.4ミクロンのバンドも、この分子(C23)で再現できた。以上から炭素ダストとしてグラフェンも重要な成分と考えられる。