[P-EM13] Dynamics of Magnetosphere and Ionosphere

[PEM13-P05] 観測パッケージPARM-HEPによる脈動オーロラに伴うマイクロバースト現象の観測

*滑川 拓^1,2、三谷 烈史¹、浅村 和史¹、三好 由純³、細川 敬祐⁴、小川 泰信⁵、齊藤 慎司⁶、斎藤 義文¹ (1.宇宙航空研究開発機構、2.東京大学、3.名古屋大学、4.電気通信大学、5.極地研究所、6.情報通信研究機構)

キーワード：マイクロバースト、観測ロケット、PARM、ピッチ角散乱、脈動オーロラ

マイクロバーストと呼ばれる放射線帯電子が地球大気に振り込む現象は、放射線帯の高エネルギー電子の散逸に大きく関連していると考えられている。この現象は地球極域で観測される脈動オーロラと類似したメカニズムである、磁気圏電子のプラズマ波動におけるピッチ角散乱によって発生することが示唆されている。マイクロバーストと脈動オーロラの同時発生を証明することでマイクロバーストの起源を明らかにできる可能性があるが、未だ観測的な検証はなされていない。
私たちは脈動オーロラと電子マイクロバースト降下の関係性を調べるため、高エネルギー電子観測器（HEP）を開発した。本機器は国際学生観測ロケットRockSat-XNおよびLAMP（Loss through Auroral Microburst Pulsation）観測ロケット実験に、脈動オーロラ・マイクロバーストの同時観測を目的とする観測パッケージPARMの中心的機器として搭載され、このうちRockSat-XNは2019年1月13日にノルウェー・アンドーヤより打ち上げられた。ロケットは静穏時の昼側で打ちあげられたため、脈動オーロラとの同時観測および顕著なマイクロバーストの検出はできなかったが、静穏時の昼側磁気圏における微弱なコーラス波によるピッチ角散乱由来の可能性がある準相対論的エネルギー電子を検出した。一方でLAMP観測ロケット実験は2020年冬期の打ち上げに向けて準備が進められており、本実験には銀河宇宙線などの貫通粒子の影響を除くための反同時計数部を搭載するなどの改良を施したHEPを搭載する。本発表では、HEPの概要とRockSat-XNの観測結果、ならびにLAMPの打ち上げに向けた準備の現状について説明する。