[PEM18-P07] MUレーダーによる電離圏観測の長期統計解析
キーワード：MUレーダー、電離圏、非干渉散乱観測
滋賀県甲賀市信楽町に位置するMU レーダーは，中層大気と超高層大気を観測するために作られた大型大気レーダーであり，1986年から非干渉散乱(Incoherent Scatter; IS)レーダーとして現在まで定常的に電離圏のF領域観測が続けられている．ISレーダーは上層大気に電波を放射し，その散乱波の強度及びスペクトルに寄与している電離圏の各種物理量を推定することができる．散乱波のパワースペクトルの形状は電子密度，電子・イオン温度，プラズマドリフト速度，イオン組成，送信波長などの関数として理論的に計算が可能である．MU レーダーによる電離圏観測では，電子・イオン温度，プラズマドリフト速度及び，エコーパワーが定常的に観測，記録され，http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/mu/isdata/ にて公開されている．現在までの長期間にわたる観測データの統計解析を実施した結果、過去の統計解析結果やIRIモデルの出力結果とは概ね一致していることを確認した。しかし、前太陽活動周期の極小期間においては、IRIモデルとの不一致が大きくなる傾向が見られた。