[PEM19-P06] 高感度全天カメラとVan Allen Probes衛星によるサブオーロラ帯孤立プロトンオーロラの初めての同時観測
キーワード:孤立プロトンオーロラ、電磁イオンサイクロトロン波、内部磁気圏、Van Allen Probes衛星
孤立プロトンオーロラは、オーロラオーバルより低緯度のサブオーロラ帯に現れるオーロラの一種で、高エネルギープロトンの降りこみによって引き起こされた東西方向に薄く伸びたスポット状のオーロラである。プロトンオーロラは、磁気圏から降りこむ高エネルギープロトンが電離圏における大気の粒子と電荷交換衝突して生み出される。過去の研究から孤立プロトンオーロラはEMIC波が高エネルギープロトンをロスコーン内にピッチ角散乱させることで発生するということが考えられてきたが、孤立プロトンオーロラとその磁気圏の発生源におけるプラズマや電磁場の同時観測はこれまでになかった。EMIC波は放射線帯粒子の大気中への急速な損失を引き起こす原因の一つであると考えられているため、波動粒子相互作用の仕組みを理解することは重要である。そこで本研究では、カナダのアサバスカに設置された全天カメラとVan Allen Probes衛星を用いて、EMIC波動に伴って発生した孤立プロトンオーロラと磁気圏のプラズマ・電磁場の同時観測イベントを検出し、その詳細な解析を行った。その結果、2015年3月16日5:30 UT前後にVan Allen Probes衛星のフットプリントが孤立プロトンオーロラを横切った時間に、この衛星で孤立したEMIC波が観測された。このEMIC波が発生した時間に対応して、衛星に搭載されているHOPE観測器で観測された5 eV - 20 keVのプロトンフラックスが急激に増加していた。このプロトンの温度異方性は1.5-2.5で、磁力線に垂直方向の温度が卓越していた。また、同観測器で観測された~500 eV以下の電子フラックスも増加していた。さらにEMFISISで観測された電子密度は4:20 UT~6:20 UTにかけて減少しており、この波動はプラズマポーズ付近で発生したことがわかった。EFWで観測された電場は波動観測時に特徴的な変動はなかった。講演では、これらの観測事実をこれまで提案されてきた孤立プロトンオーロラの発生メカニズムと照らし合わせて議論する。