JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS06] Science of Venus: Venus Express, Akatsuki, and beyond

コンビーナ:佐藤 毅彦(宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部)、Kevin McGouldrick(University of Colorado Boulder)、佐川 英夫(京都産業大学)、Thomas Widemann(Observatoire De Paris)

[PPS06-01] 2020年代の日本の金星探査

★招待講演

*中村 正人1山崎 敦1山城 龍馬2石井 信明1戸田 知朗1二穴 喜文4リメイエ サンジェイ3寺田 直樹5安藤 紘基6神山 徹7佐藤 毅彦1今村 剛8田口 真9林 祥介10堀之内 武11リー ヨンジュ12高木 征弘6今井 正尭7福原 哲哉9杉本 憲彦13樫村 博基10渡部 重十14佐藤 隆雄14はしもと じょーじ15村上 真也1マゴルドリック ケビン16阿部 琢美1廣瀬 史子2山田 学17小郷原 一智18杉山 耕一朗19大月 祥子20ペラルタ ハビエル1高木 聖子11岩上 直幹上野 宗孝2坂野井 健5亀田 真吾9笠羽 康正5高橋 幸弘11佐藤 光輝11松田 佳久21山本 勝22 (1.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所、2.宇宙航空研究開発機構、3.ウィスコンシン大、4.IRF、5.東北大学、6.京都産業大学、7.産業総合研究所、8.東京大学、9.立教大学、10.神戸大学、11.北海道大学、12.ベルリン工科大学、13.慶応大学、14.北海道情報大学、15.岡山大学、16.コロラド大学、17.千葉工業大学、18.滋賀県立大学、19.松江工業高等専門学校、20.専修大学、21.東京学芸大学、22.九州大学)

キーワード:金星、探査、ラグランジュ点

あかつきは2010年に打ち上げられた日本初の金星軌道周回衛星で、2015年の金星軌道投入(VOI)以来、搭載カメラで多くの画像が撮影されている。低・中高度の夜側半球の雲をIR2近赤外カメラで撮像し、昼間の上層雲をUVI紫外撮像装置で撮像し、雲頂温度分布をLIR赤外カメラで撮像した。UVIとLIRは軌道投入から4年間動作しているが、IR2は制御機器の故障のため軌道投入から1年間後に観測を停止した。そのため、UVI、LIRとIR2画像の総数はそれぞれ17,306枚、31,444枚、3,201枚である。異なる高度、異なる現地時間、異なる緯度でのあかつきの観測により、我々は金星大気の力学の理解に近づいたが、低及び中高度雲のデータ数は十分ではないと言わざるを得ない。金星への次のミッションを計画し、金星の大気のより多くの情報を得る必要がある。ロシアはベネラDミッションを計画しているおり、ヨーロッパの科学者はESAにEnVisionミッションを提案している。これらがすべて実現すれば国際金星大観測網が形成される。

金星中心から昼と夜の約100万kmに位置する金星のラグランジュポイントに2つの小型探査機を投入することを検討している。この考えはLimaye and Kovalenko [2019]から借り受けている。ラグランジュ1 (2) 点からは、日側(夜間)半球が常に観測される。リサージュ軌道の半径は投入に必要なデルタVに依存する。観測位相角を25度と仮定し、金星への軌道マヌーバとL1 (2) リサージュ軌道投入に必要なΔVを720m/sと推定した。

例えばJAXAのイプシロンロケットは、金星に200~250kgの質量を打ち上げ可能と予想されており、一つの探査機重量は約100kgである。上記ΔVの燃料(一液)は36kgと推定される。科学ペイロードのために10kgを仮定すれば、残りの54kgは推進、通信などを含むバスシステムのために使用できる。他のロケットによる打ち上げ可能性も検討すべきである。

講演では今後の金星科学のフォローアップや、今後のミッションプラン(打ち上げロケット、軌道投入、プローブシステムなど)の詳細について発表する。

参照
1. Monitoring Venus and communications relay from Lagrange Points, Limaye and Kovalenko, Planetary and Space Science 2019, https://doi.org/10.1016/j.pss.2019.104710