[PPS09-P09] 二次元数値流体計算による巨大惑星へのガス降着モデルの検証
キーワード:惑星形成、ガス降着、流体力学
太陽系内や系外の巨大惑星は、原始惑星系円盤の大量のガスが降着することにより形成されたと考えられている。しかし、与えられた円盤に対し惑星へのガス降着率を与える確定したモデルはまだなく、巨大惑星の形成時間や最終質量を決める上で問題となっている。
巨大惑星は、その重力により密度波を励起し、周りのガスを跳ね飛ばすことで、軌道に沿って密度が低下したリング領域(ギャップ)を作る。谷川と田中(2016)は、惑星へのガス降着率はギャップ内の低下したガス密度に比例すると仮定して、ガス降着のモデルを作成した。このモデルは、従来の複数の3次元数値流体計算の結果とおおよそ調和的であるが、詳細な検証はなされていない。そこで、本研究では、このガス降着率のモデルを検証することを目的とし、円軌道で公転する惑星を含めた原始惑星系円盤の二次元数値流体計算を行った。数値計算には、公開されているFARGOコードを用いた。
まず初めに、ガス降着なしのテスト計算を様々な惑星質量や粘性に対して行い、ギャップ内のガス面密度を求め、金川ら(2015)の従来研究で得られているギャップの深さの経験式と一致することを確認した。
次に、惑星へのガス降着を含めた計算を行った。本研究では、惑星近傍のある範囲内でガス面密度をある時定数で減少させることで、惑星へのガス降着を模擬する方法を採用した。この方法には、降着させる範囲の半径や降着時間、惑星重力ポテンシャルのソフトニング長という三つのパラメータが含まれている。これらのパラメータを変えて、多数の数値流体計算を行った結果、降着範囲半径とソフトニング長については、これらの値が円盤スケールハイトより小さい場合は、これらにガス降着率はほとんど依存しないことが分かった。その一方、降着時間には依存するが、降着時間を十分短くすれば、降着率が一定の値に収束することが分かった。さらに、本研究の数値流体計算で得られたガス降着率の収束値と谷川と田中(2016)のモデルとを比較した。その結果、粘性を変えて、ギャップ内の面密度を変化させたいくつかの数値計算における降着率がモデルと一致することが確かめられた。
巨大惑星は、その重力により密度波を励起し、周りのガスを跳ね飛ばすことで、軌道に沿って密度が低下したリング領域(ギャップ)を作る。谷川と田中(2016)は、惑星へのガス降着率はギャップ内の低下したガス密度に比例すると仮定して、ガス降着のモデルを作成した。このモデルは、従来の複数の3次元数値流体計算の結果とおおよそ調和的であるが、詳細な検証はなされていない。そこで、本研究では、このガス降着率のモデルを検証することを目的とし、円軌道で公転する惑星を含めた原始惑星系円盤の二次元数値流体計算を行った。数値計算には、公開されているFARGOコードを用いた。
まず初めに、ガス降着なしのテスト計算を様々な惑星質量や粘性に対して行い、ギャップ内のガス面密度を求め、金川ら(2015)の従来研究で得られているギャップの深さの経験式と一致することを確認した。
次に、惑星へのガス降着を含めた計算を行った。本研究では、惑星近傍のある範囲内でガス面密度をある時定数で減少させることで、惑星へのガス降着を模擬する方法を採用した。この方法には、降着させる範囲の半径や降着時間、惑星重力ポテンシャルのソフトニング長という三つのパラメータが含まれている。これらのパラメータを変えて、多数の数値流体計算を行った結果、降着範囲半径とソフトニング長については、これらの値が円盤スケールハイトより小さい場合は、これらにガス降着率はほとんど依存しないことが分かった。その一方、降着時間には依存するが、降着時間を十分短くすれば、降着率が一定の値に収束することが分かった。さらに、本研究の数値流体計算で得られたガス降着率の収束値と谷川と田中(2016)のモデルとを比較した。その結果、粘性を変えて、ギャップ内の面密度を変化させたいくつかの数値計算における降着率がモデルと一致することが確かめられた。