JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 P (宇宙惑星科学) » P-PS 惑星科学

[P-PS09] 惑星科学

コンビーナ:仲内 悠祐(宇宙航空研究開発機構)、嵩 由芙子(会津大学)

[PPS09-P10] ダスト優位な領域を含めたストリーミング不安定の発生機構の物理的解釈

*金子 寛明1中本 泰史1 (1.東京工業大学)

キーワード:原始惑星系円盤、微惑星形成、不安定性

惑星形成のプロセスは,μmサイズの粒子からkmサイズの微惑星を経て、数千kmサイズの惑星にまでいたる過程である。その過程の中でも、分子間力で合体可能な1cmサイズから,kmサイズの微惑星を作るプロセスには多くの障害がある。その突破口の1つとして有力視されているのがストリーミング不安定性(以後、SI)である。SIの非線形数値計算により、条件が満たされれば,惑星の材料となる固体粒子の集積とその後の自己重力による微惑星の形成が起こり得ることは確認されている。一方、その線形段階の物理的メカニズムの理解はいくつかの先行研究で試みられてはいるものの、SIの特性、特にダスト・ガス密度比が1の前後での振る舞いの違いや鉛直方向の輸送の寄与は説明しきれていない。本発表では、著者の先行研究で扱ったガス優位な条件下に加え、ダスト優位な条件下の場合についてもSIの物理的メカニズムを提示する。また、両者を体系的に理解する方法も示す。



まず,Nakagawa et al. 1986の定常解をもとにしたダストの質量フラックスのダスト・ガス密度比依存性から、SIの位相速度に対する解釈が得られる。つぎに,Terminal velocity approximationを用いた線形安定性解析の結果から、ダスト・ガス双方の運動と集積の様子を得る。これらから,ダストクランプの成長について、ガス優位な条件下では鉛直方向の輸送が、ダスト優位な条件下では半径方向の輸送がそれぞれ正に効いていることが確認できる。最後に,こうした現象を説明可能な物理メカニズムを示す。