[PPS09-P17] ひさき衛星が捉えた極端紫外スペクトルから導出した彗星熱史に関する研究
キーワード:彗星、ひさき衛星、極端紫外光、化学組成
地球周回の衛星ひさきにより2015年から2018年の間に5つの彗星(C/2013 X1 Panstarrs, C/2013 US10 Catalina, 46P/Wirtanen, 21P/Giacobini-Zinner, 67P/churyumov-Gerasimenko)が分光観測されている。中でもバックグラウンドと比較し、彗星起因のスペクトルの発見が推測できたC/2013 X1 Panstarrs, C/2013 US10 Catalina のデータから地球周りのジオコロナを差し引くことで、彗星由来の極端紫外発光スペクトルを導出した。彗星は原始太陽系円盤中の温度環境や物質の情報をそのまま保持していると考えられている。したがって、彗星の核やコマの化学組成を知ることで、原子太陽系円盤の情報を得られる。特に、彗星の主要成分であるH2O, CO2, COは、彗星の歴史を知るために重要な情報である。H2O, CO2, COはそれぞれ昇華温度が異なるため、これらの比は形成時の温度環境を反映していると考えられている。また、CO2, CO比は形成からの酸化反応の度合いを反映していると考えられている(Ootsubo et al., 2012)。本発表では、ひさき衛星で得られた彗星の極端紫外スペクトルを用いて、それぞれ輝線(H, C, O)が意味する物理過程を紹介する。また導出したH2O・CO2,・CO比を過去に観測されている彗星から得られたデータと比較し、その違いが示す科学的意義について議論する。