[PPS09-P19] 衛星重力観測による火星大気の検出に関するシミュレーション
キーワード:衛星重力観測、火星
地球と同様に、多くの惑星において、大気はその表層環境を規定する役割を果たしている。大気の循環は、惑星表面の質量の移動を伴うため、重力場の時間変化として検出可能である。本研究では、火星表層の大気の循環に焦点を当て、それを衛星重力観測によってモニターする可能性について議論した。まず、火星大気による表層質量変動が、衛星重力観測によって検出可能な大きさであるかどうかについて評価するため、火星大気大循環モデルMCD5.3を用い、火星大気および他の検出可能性のある質量変動成分(二酸化炭素氷、ダスト、水氷)について、その時間的、空間的な特性と、質量変動に換算した場合の振幅の大きさを調べた。得られた結果に基づき、これらの変動を効率的に観測するために必要とされる衛星の感度、衛星数、観測期間、軌道設計について考察した。また、火星表面で大きな時間変動の振幅を示すCO2氷を、衛星重力観測および衛星高度計観測によって検出することによって、火星の荷重ラブ数を推定する可能性についても考察した。