JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG55] 岩石・鉱物・資源

コンビーナ:西原 遊(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、門馬 綱一(独立行政法人国立科学博物館)、野崎 達生(国立研究開発法人 海洋研究開発機構 海洋機能利用部門 海底資源センター)、土谷 信高(岩手大学教育学部地学教室)

[SCG55-P15] 長石の熱発光を用いた地熱探査法の開発に関する研究

*佐藤 貴啓1平野 伸夫1土屋 範芳1岡本 敦1 (1.東北大学)

キーワード:熱発光、長石、地熱探査

日本には豊富な地熱資源があり、地熱開発はエネルギー戦略上重要であるが、その開発は進んでいない。地熱発電所の開発にかかるコストが高いことと、時間が長いことが原因の一つである。この課題の解決策の1つとして、鉱物の熱発光(TL)を用いた簡便な地熱探査法が提案されている。熱発光は放射線によって鉱物結晶内にエネルギーを蓄積させ、熱刺激によって光としてそのエネルギーが解放される現象である。自然放射線によって蓄積したエネルギーによる発光を自然熱発光(NTL)、人工的に放射線を照射して蓄積させたエネルギーによる発光を人工熱発光(ATL)という。2000年の土屋らによる研究、2017年の指し等らによる研究によって、石英TLを用いた地熱探査法が有効であることが示された。長石も石英と同様にTLを示すが、長石のTLを用いた地熱探査法に関する研究はほとんど存在しない。長石は地殻中に普遍的に存在する鉱物であり、もし長石TLを用いた知念津探査法が開発されれば、TL地熱探査法を石英の乏しい地域で適用することが可能になる。また、石英TLを合わせて用いることで、TLを用いた地熱探査法の精度を向上させることも可能になると考えられる。本研究では、長石TLの基本的な性質について検討した。

石英TLを用いた地熱探査法では、地熱影響による石英NTLの強度の差を活用している。これは熱によってエネルギーが解放される性質を利用し、熱源に近い、すなわち地熱温度が上昇するほど自然熱発光強度が弱くなる現象を利用している。長石においても同様の方法が適用できないか、ペグマタイト中のカリ長石を用いて等温減衰実験を行った。加熱環境条件として、加熱のみのサンプル、酸性水(玉川温泉水)に浸けて加熱したサンプル、中性水(蒸留水)に浸けたサンプルの3パターン用意した。加熱温度を90、125、150、200、250℃、加熱時間を24、168、672時間とし、合計45サンプル作成した。熱発光の評価は、測定した発光から加熱ヒータの黒体放射によるバックグラウンドの影響を差し引いたグローカーブと、熱発光積分強度で行った。発光強度と加熱温度と時間の関係については、加熱温度が高く、加熱時間が長くなるに従って発光強度の減衰が観察された。発光強度と加熱環境の関係については、加熱環境を変化させても発光強度減衰の傾向に変化が観察されなかった。したがって、熱発光強度の減衰は熱水変質の影響よりも、温度の影響に大きく依存すると考えられる。熱発光強度減衰のこれらの結果を速度論的に解釈し、5次反応と仮定してフィッティングをおこなった。その結果、見かけの活性化エネルギーは1.25eVとなった。この値は既往の研究で計算された石英の結果とおおむね一致していることから、長石の自然熱発光を用いた地熱探査の可能性があることが示された。

ポスター発表では、凝灰岩や花こう岩などの岩石から採取した長石についても検討をおこなう.