JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG57] 広域観測・微視的実験連携による沈み込み帯地震研究の新展開

コンビーナ:木下 正高(東京大学地震研究所)、河野 義生(愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター)、荒木 英一郎(海洋研究開発機構)、Hiroko Kitajima(Texas A&M University College Station)

[SCG57-P07] 南海トラフ付加体の間隙径分布の深度分布

井上 幸希2、*谷川 亘1橋本 善孝2多田井 修4北村 真奈美5濱田 洋平1廣瀬 丈洋1林 為人3 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構高知コア研究所、2.高知大学、3.京都大学、4.マリンワークジャパン、5.産業技術総合研究所)

キーワード:南海トラフ、間隙率、間隙径分布、IODP Expedition 348、透水係数

付加体堆積物の間隙率は深部につれて圧密にともない大きく低下し、そのため間隙率に強く依存する弾性波速度と熱伝導率は増加する傾向を示す。一方、堆積岩の間隙径分布が深度方向にどのように変化するのか、また圧密の影響をどのように受けるのか、あまりよくわかっていない。透水係数は間隙率だけでなく間隙径分布にも強く依存するパラメータであるため、間隙径分布の深度方向の変動過程を理解することにより、透水係数の深度分布を推定できる可能性がある。そこで本研究では、南海トラフ地震発生帯掘削(NantroSEIZE)IODP Expedition348 Site C0002で得られたカッティングス試料と掘削コア試料を用いて間隙率と間隙径分布を測定し、深さ方向に対する間隙率、間隙径分布の変化を評価した。

対象とする掘削サイト(Site C0002)は、主にシルト質堆積物で構成されている。カッティングス試料44個とカッティングスと同深度のコア試料7個を用いた。サンプルを海水で洗浄した後、真空乾燥を行い、ペンタピクノメータで間隙率と密度を測定し、その後、水銀圧入式ポロシメータを用いて同じ試料の間隙率と間隙径分布を測定した。また、3D-X線顕微鏡(Xradia)による微細構造観察およびXRD分析による鉱物組成比を測定し、測定結果を議論した。

測定の結果、ガスピクノメータで求めた間隙率は20-55%、水銀圧入法で求めた間隙率は、878-2825mbsfでは15-50%、2830-3200mbsf付近で2-5%程度を示し、どちらも深度に伴って概ね小さくなる傾向にあった。2200mbsf付近の深度で間隙率が大きくばらつく(15-34%)傾向を示した。また、試料全体としてはガスピクノメータで求めた間隙率は水銀圧入式ポロシメータと比較して大きい値を示した。一方、間隙径分布は、2000mbsf以浅では最頻値の指標となるピークがはっきりしていて、深度の増大に伴って間隙径の最頻値が徐々に減少していく傾向が認められた。一方、2000mbsf以下では最頻値が明瞭でない歪な分布が多く認められた。
間隙率のばらつきが大きい2200mbsf付近の試料についてμ-XCTとXRDの測定を行ったところ、3D-X線画像では粒径の大きい鉱物粒子の量に差が認められ定向配列に平行な割れ目が発達している様子が認められ、XRDの測定結果では粘土鉱物が非常に少ない試料があることがわかった。2200m付近の間隙率のばらつきは砂質堆積物とシルト質堆積物が混在や割れ目の有無が関与している可能性がある。全体的に深部ほど低い間隙径分布を示すことから、深部につれて透水係数も徐々に低下していることが考えられる。