JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG58] Science of slow earthquakes: Toward unified understandings of whole earthquake process

コンビーナ:井出 哲(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、廣瀬 仁(神戸大学都市安全研究センター)、氏家 恒太郎(筑波大学生命環境系)、波多野 恭弘(大阪大学理学研究科)

[SCG58-P34] 琉球海溝における超低周波地震活動の長期変化

*中村 衛1 (1.琉球大学理学部)

キーワード:超低周波地震、琉球海溝、地震活動

琉球海溝に沿って超低周波地震が定常的に発生している。その活動は八重山諸島南部、沖縄本島南沖、および奄美大島付近に集中している。各地域で超低周波地震は2ヶ月から3ヶ月おきに発生する。1回の活動期間は1日から3日程度である。宮古島から沖縄本島の間にも活動のクラスタが複数分布する。しかしこの地域では超低周波地震の活動が低い。プレート間で発生する超低周波地震活動の長期的変動は、プレート間の歪蓄積及び歪解放の度合いの時間変化を反映していると考えられる。そこで、各地域で超低周波地震活動が長期的にどのように変化しているか調べた。データはNakamura and Sunagawa(2015)と同様の手法で求めた超低周波地震カタログを使用した。これは0.02-0.05HZのバンドパスフィルターをかけた上下動波形から超低周波地震の最大振幅時刻を読み取り、各地点での最大振幅到達時間を使って震央の決定を行ったものである。解析ではM3.5以上の超低周波を用いた。期間は2002年から2019年である。
 その結果、八重山諸島では2002年以降現在に至るまで、超低周波地震活動が緩やかに減少し続けていた。2002年、八重山諸島ではMJ7.0の地震(2002年3月26日)とMJ6.9(2002年3月31日)のプレート間地震が相次いで発生し、さらにM6.0以上の地震活動が一時的に増加している。超低周波地震活動の変化および普通の地震の活動変化は、琉球海溝南西部でのプレート面の固着変化またはスロー地震の進行などにより、プレート間の歪が一時的に変化したことを反映している可能性がある。
 一方、沖縄本島付近では2014年以降、超低周波地震の活動が急に活発化した。一方、この時期の活動増加は奄美大島付近では見られない。この時期、中部琉球海溝の海溝軸付近ではスラブ内で発生した群発地震活動が活発化している。超低周波地震活動の変化はプレート面でのスロー地震の進行に伴う歪の解消を反映している可能性がある。