[SCG63-02] 高密度地震観測で明らかになった2016年鳥取県中部地震の余震活動の定常性
キーワード:内陸地震、余震、応力、強度、流体
地震発生と流体の関係を明らかにするために、2016年鳥取県中部地震の余震域に本震発生直後(2016年10月21日)から設置された69個の高感度地震計による高密度余震観測網のデータを解析して、10月22日から12月15日までに発生した余震の震源と震源メカニズムを正確に決定した。震源の空間分布と震源メカニズムのT軸方位角の時間的変化を調べた。余震の震源とT軸方位角の分布は基本的に時間的に安定しているが、余震域の西端付近の浅い領域の限られた部分においては、大きなT軸方位角をもった余震が減ることが検出された。本震の断層破壊により流体が下部地殻から上昇すると、特に余震域の最深部で、余震の震源位置やメカニズム解が時間とともに変化する可能性がある。しかしながら、この解析によると、これらのパラメーターの時間変化は、余震域の深部では明らかではなかった。これらの観測結果は、鳥取県中部地震の余震活動が、高い流体圧による強度低下ではなく、主に応力集中によってコントロールされたことを示唆している。