JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG64] 地殻ーマントルコネクションズ

コンビーナ:田村 芳彦(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、石塚 治(産業技術総合研究所活断層火山研究部門)

[SCG64-12] カムチャッカにおけるテクトニクス‐火成活動の特徴:太平洋プレート北端におけるダイナミクスに対する意味

*西澤 達治1中村 仁美2,3,4,5岩森 光3,4,6 (1.東京工業大学理学院火山流体研究センター、2.産業技術総合研究所地質調査総合センター活断層・火山研究部門、3.海洋研究開発機構地球内部物質循環研究分野、4.東京工業大学理学院地球惑星科学系、5.千葉工業大学次世代海洋資源研究センター、6.東京大学地震研究所)

キーワード:太平洋プレート、火山弧、島弧溶岩、カムチャッカ

トランスフォーム断層で定義される太平洋プレート(PAP)の北端はカムチャッカの下に沈み込み,複数の火山帯;the Eastern Volcanic Front (EVF), the Central Kamchatka Depression (CKD), and the Sredinny Range (SR)から成る活発な火山弧を形成している.カムチャッカの中央部は250 kmの幅を誇るのに対し,その北部では50 kmの幅まで減少する。この変化は複数のテクトニクス‐マグマティックな特徴の遷移と関連している.カムチャッカの東海岸側には,PAP,ベーリングプレート(BP),オホーツクプレートから成るカムチャッカ‐アリューシャン三重会合点が形成される.PAPとBPの境界には主に3本の右横ずれトランスフォーム断層(アリューシャン断層,ベーリング断層,アルファ断層)が形成され,両プレートの運動のずれを緩和させている(例えば,Kogan et al., 2017; Lay et al., 2017).断層の右横ずれ運動は北に向かうほど減少する.CKDの中央部には著しく活発で巨大な火山群が形成され,それは標高4750m,過去1万年間の噴出率が1m3/秒のKlyuchevskoy火山を含む(Fedotov et al., 1987).火山群の北には,カムチャッカにおける活火山の北限として定義されるShiveluch火山が位置し,そこではアダカイト質の溶岩が観察され,PAP北端におけるスラブの溶融を示している可能性がある(例えばYogodzinski et al., 2001).
沈み込むPAP北端に応じたこのテクトニクスと火成活動プロセスを制約する為に,我々は公表されているカムチャッカ全域の第四紀火山の溶岩組成の中でMgO含有量が5 wt.%よりも高いデータをコンパイルした(Churikova et al., 2001; Portnyagin and Manea, 2008; Volynets et al., 2010; 2018).この地球化学データに基づき,マントルウェッジ内の溶融とスラブ脱水時の物理‐化学状態を推定した.結果,島弧の側方方向と横断方向の両方に複数の地球化学的トレンドを発見した,これは流体‐マグマプロセスが空間変化,特に島弧側方方向に変化していることを示唆する.これらの分析を地球物理観測,テクトニクスモデル,数値シミュレーションと組み合わせて,PAP北端の周囲におけるダイナミクスについて議論する.