[SCG66-13] 南海トラフ巨大地震震源域下のフィリピン海プレート深部構造の推定
キーワード:地震波トモグラフィー、フィリピン海プレート、DONET
南海トラフ沿いでは、南方から日本列島下にフィリピン海プレートが沈み込み、そのプレート境界では、これまで何度も巨大地震が発生してきた。そして、近い将来も巨大地震の発生が懸念されている。この巨大地震の発生域におけるフィリピン海プレートについて、その上面付近では非常に詳細な構造が明らかになっているが、より深部の詳細な構造は推定されていない。そこで本研究では、DONETで観測されたデータを用いて、南海トラフ巨大地震発生域下におけるフィリピン海プレート下面や、さらにその深部の地震波速度構造を地震波トモグラフィーの手法で推定した。
解析に用いたデータは、2011年1月から2018年3月までにDONETで観測された地震波形データから、P波・S波の到着時刻を手動で読み取った。特に、本研究でターゲットとするフィリピン海プレート深部の解像度を向上させるためには、プレートの下方から伝わってくる地震波のデータを用いる必要がある、そこで本研究では、DONET観測網から離れた領域で発生した地震からの到着時刻も読み取り、解析に用いた。しかしながら、これらの地震の震源をDONETデータだけで決定すると、これを精度良く求めることはできない。そこで、Hi-netの観測データも用いることにより、DONET観測網外で発生した地震についても精度良い震源位置の情報をトモグラフィー解析に用いた。
また、DONET観測網から離れた領域で発生した地震からのデータについては、DONET領域外の不均質の影響を考慮する必要がある。そこで、解析範囲を北緯30度-42度、東経129度-144度、深さ0-600kmと設定してDONET領域外も含まれるようにし、Hi-netの読み取り値も同時に用いてトモグラフィー解析を行った。解析に用いたグリッド間隔は、水平面内では0.1度x0.1度、鉛直方向には8-10kmとした。
本解析によって、熊野灘と紀伊水道沖において、沈み込むフィリピン海プレート深部までの構造を明らかにすることができた。フィリピン海プレートの厚さは、熊野灘下で約30km、紀伊水道沖で約40kmと推定される。また、フィリピン海プレートの下側には双方とも顕著な低速度異常が見られるが、熊野灘下の方が紀伊水道沖よりも、低速度がより顕著に現れている。
解析に用いたデータは、2011年1月から2018年3月までにDONETで観測された地震波形データから、P波・S波の到着時刻を手動で読み取った。特に、本研究でターゲットとするフィリピン海プレート深部の解像度を向上させるためには、プレートの下方から伝わってくる地震波のデータを用いる必要がある、そこで本研究では、DONET観測網から離れた領域で発生した地震からの到着時刻も読み取り、解析に用いた。しかしながら、これらの地震の震源をDONETデータだけで決定すると、これを精度良く求めることはできない。そこで、Hi-netの観測データも用いることにより、DONET観測網外で発生した地震についても精度良い震源位置の情報をトモグラフィー解析に用いた。
また、DONET観測網から離れた領域で発生した地震からのデータについては、DONET領域外の不均質の影響を考慮する必要がある。そこで、解析範囲を北緯30度-42度、東経129度-144度、深さ0-600kmと設定してDONET領域外も含まれるようにし、Hi-netの読み取り値も同時に用いてトモグラフィー解析を行った。解析に用いたグリッド間隔は、水平面内では0.1度x0.1度、鉛直方向には8-10kmとした。
本解析によって、熊野灘と紀伊水道沖において、沈み込むフィリピン海プレート深部までの構造を明らかにすることができた。フィリピン海プレートの厚さは、熊野灘下で約30km、紀伊水道沖で約40kmと推定される。また、フィリピン海プレートの下側には双方とも顕著な低速度異常が見られるが、熊野灘下の方が紀伊水道沖よりも、低速度がより顕著に現れている。