JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG66] 海洋底地球科学

コンビーナ:沖野 郷子(東京大学大気海洋研究所)

[SCG66-P01] 背弧海盆等での斜交拡大系と「最小作用の原理」の関係

*江口 孝雄

キーワード:背弧斜交拡大、エネルギー散逸、上昇流、ハミルトンの原理

特定の海溝―島弧系では、隣接プレート境界での衝突作用、あるいは海溝軸の形態急変など、周辺テクトニクスの時空間的変化により「島弧リフト系」または「背弧リフト系」が生み出されることがある。そのようなリフト系が成長すると背弧海盆が形成される。
世界各地の活動的背弧海盆の中で、アンダマン海やビスマルク海、ラウ海盆などでは、所謂直交拡大ではなく、(拡大軸走向に直交しない方向に拡大する)斜交拡大と見做せる伸張テクトニクスが進行している。
ある程度順調に成長しつつある背弧拡大系には、上部マントル流動を能動的または受動的に励起しつつ溶融体を補給する必然性がある。つまり、背弧斜交拡大なる現象は、上部マントル流動などを考慮したエネルギー散逸問題である。
背弧斜交拡大系の拡大軸セグメントの長さは一定ではない。比較的長めのトランスフォーム断層から雁行配列した小規模海底拡大軸が認められる背弧海盆も存在する。
例えば、アンダマン海、ビスマルク海、ラウ海盆。また、アンダマン海中部には比較的長めの斜交拡大軸も存在する。
上部マントルの浅部を含めたエネルギー散逸問題として、これらの背弧斜交拡大軸の長さが異なる原因について検討した。
具体的には、斜交拡大を伴った、活動的背弧海盆全体によるエネルギー散逸の総量に関して、トランスフォーム断層による散逸、ならびに拡大軸での散逸量、拡大に関与する実効的深さ範囲などをモデル化した。
本研究では、そのような斜交拡大系を持つ背弧海盆でのダイナミクスに関して、ハミルトンの原理の立場から議論した。