JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG67] 地殻流体と地殻変動

コンビーナ:北川 有一(産業技術総合研究所地質調査総合センター地震地下水研究グループ)、小泉 尚嗣(滋賀県立大学環境科学部)、梅田 浩司(弘前大学大学院理工学研究科)、角森 史昭(東京大学大学院理学系研究科地殻化学実験施設)

[SCG67-01] 地震後に観測されたゆっくりとした歪変化と地下水位変化-産総研の土佐清水松尾観測点の場合-

*北川 有一1板場 智史1松本 則夫1 (1.産業技術総合研究所地質調査総合センター地震地下水研究グループ)

キーワード:歪、地下水、地震後の変化、局所的な変化

南海トラフでの巨大地震の短期・中期予測研究のために、愛知県・紀伊半島・四国の観測点で地殻変動・地下水の観測を行い、特にプレート境界での短期的SSEのモニタリングに重点をおいて取り組んでいる。2019年5月10日に日向灘で地震(M6.3)が発生した際に、産総研の土佐清水松尾(TSS)観測点において地震後にゆっくりとした歪変化が観測された。この歪変化の特徴が短期的SSEによる歪変化に似ており、歪変化から計算された主歪場から足摺岬南東側のプレート境界の固着域でのSSEの可能性が指摘された。地震で誘発されたSSEの可能性以外に、ボアホール歪計周辺で生じた局所的な変化(間隙水圧変化など)や歪計内部の機械的な飛びの可能性も考えられた。そこで、過去の四国周辺でのM5以上の地震や土佐清水市で震度3以上の地震の後のTSSの歪・地下水位の挙動を調査した。11例で地震後に歪変化が見られ、これらの歪変化の主歪場は似た傾向があった。また11例中の10例でTSSの孔2観測井戸の水位が地震後に低下していた。今回のTSSでの地震後の歪変化は地震の揺れに起因したTSS周辺の局所的な変化の可能性が高いことが分かった。