[SCG69-07] 磁性ペーストの記憶と亀裂形成への影響
キーワード:乾燥破壊、粘土ペースト、記憶効果、塑性変形
粘土ペーストのような高濃度コロイドサスペンションは外場を受けた際に己が動いたり変形した方向を記憶しており、その記憶は乾燥させた時に現れる亀裂パターンの形状として視覚化される。例えば、ペーストが地震のように振動を受けてその方向を記憶した場合は振動方向に垂直な方向に割れやすくなり、土石流のように剪断流を経験してその方向を記憶した場合は剪断流の方向に平行に割れやすくなる。本講演では粘土ペーストが磁性粒子を含む場合に磁性ペーストは印加された磁場の方向を磁化の形で記憶するだけでなく塑性変形の形でも記憶し、その結果乾燥させた時に割れやすい方向は印加された磁場の方向に平行になることを報告する。SPring-8におけるサンプルのX線CT撮影により磁性粒子が印加した磁場の方向に配向したり配列することが記憶の形成に関わっていることがわかった。地球物理学的な応用としては、粘土ペーストに揺れや剪断や磁場の方向を記憶させたりいったんできた記憶を書き換えたり消去することで粘土の割れやすい方向が制御できること、また粘土ペーストを乾燥させた時に発生する亀裂パターンやミクロな内部構造を調べることで粘土ペーストが過去にどのような地震や土石流を体験したかその記憶を読み解くことなどが考えられる。