[SCG69-P10] 島根県野山岳・川下に産するかんらん岩捕獲岩の微細構造解析~日本海拡大時の岩石変形?~
キーワード:かんらん岩捕獲岩、結晶方位定向配列、日本海拡大
西南日本内帯に分布する新生代アルカリ玄武岩中には、しばしば地殻・マントル由来の捕獲岩が含まれる。本研究地域である島根県野山岳と川下の玄武岩中には数cm~10cm程度の大きさの捕獲岩が確認できる。これらの捕獲岩を用いた岩石学的な研究は行われてきたが(平井, 1983: 永尾・阪口1990: Arai et al., 2000: Abe et al., 2002)、詳細な微細構造解析は行われていない。そこで本研究は島根県野山岳と川下かんらん岩捕獲岩を用いた微細構造解析を行い、背弧地域の変形履歴と火成活動の関係を明らかにすることを目的とする。
薄片観察と微細構造解析より捕獲岩の岩石組織を①中粒等粒状組織(粒径~1mm)、②大小様々な粒径を含む組織にグループに分類した。結晶方位定向配列(EBSD法)の解析から①中粒等粒状組織において、マントル流動で塑性変形した場合に特徴的な(010)[100]すべりが確認でき、強く波動消光するかんらん石結晶や動的再結晶したかんらん石粒子が確認できた。②の大小様々な粒径を含む組織のグループはかんらん石巨晶の間に小さなかんらん石が再結晶している組織が見られた。
かんらん石とスピネルの化学組成分析より、①中粒等粒状組織、②大小様々な粒径を含む組織ともマントル起源の溶け残り岩でレルゾライト的な鉱物組み合わせを持つことがわかった。また、Wells (1977)の輝石温度計を用いた平衡温度は1200℃程度であり西南日本に産出する他地域のかんらん岩捕獲岩よりも100℃ほど高くスピネル・レルゾライトが安定領域の圧力で比較的高い温度の条件で化学平衡にあったと示唆された。
上記の結果から、7.3 Maに野山岳や6.7Maに川下玄武岩が噴火する前、火山直下は高地温勾配で多様な応力下でかんらん岩が塑性変形する条件にあったと考えられる。これは15Maごろに最も活発化した日本海拡大に起因するものではないかと考えた。
薄片観察と微細構造解析より捕獲岩の岩石組織を①中粒等粒状組織(粒径~1mm)、②大小様々な粒径を含む組織にグループに分類した。結晶方位定向配列(EBSD法)の解析から①中粒等粒状組織において、マントル流動で塑性変形した場合に特徴的な(010)[100]すべりが確認でき、強く波動消光するかんらん石結晶や動的再結晶したかんらん石粒子が確認できた。②の大小様々な粒径を含む組織のグループはかんらん石巨晶の間に小さなかんらん石が再結晶している組織が見られた。
かんらん石とスピネルの化学組成分析より、①中粒等粒状組織、②大小様々な粒径を含む組織ともマントル起源の溶け残り岩でレルゾライト的な鉱物組み合わせを持つことがわかった。また、Wells (1977)の輝石温度計を用いた平衡温度は1200℃程度であり西南日本に産出する他地域のかんらん岩捕獲岩よりも100℃ほど高くスピネル・レルゾライトが安定領域の圧力で比較的高い温度の条件で化学平衡にあったと示唆された。
上記の結果から、7.3 Maに野山岳や6.7Maに川下玄武岩が噴火する前、火山直下は高地温勾配で多様な応力下でかんらん岩が塑性変形する条件にあったと考えられる。これは15Maごろに最も活発化した日本海拡大に起因するものではないかと考えた。