[SCG70-04] 高密度観測網データを用いた工学基盤での強震動評価と表層増幅率の推定に基づく面的震度表示
キーワード:工学基盤強震動、表層地盤増幅率、面的震度表示、リアルタイム震度表示、最大震度表示
高密度強震観測網(観測点間距離がP波伝播速度≒6 ㎞より短い)の1 秒パケットデータにより、観測値から表層増幅率(J-SHIS(NIED))を用いて工学基盤での振幅を評価して、その表層増幅率を用いて周辺の1 ㎞メッシュに補間して面的に表層震度をリアルタイム表示し、またその最大値でホールドした最大震度分布図を表し、観測データの上下動成分5 倍の(S/P 波の震源での理論比)振幅で面的に補間した図はほぼ最大震度分布を示すことから、P 波予測の有効性も示してきた。
しかしながら、地形およびS 波速度から表層増幅率を求めた(J-SHIS)による強震動予測には実際の揺れと隔たりがあることが指摘されている。宮城県には宮城県(自治体)、気象庁、k-netおよびkik-net(NIED)を合わせると合計約75台の計測震度計が存在し、その観測点間距離は平均2㎞となり、この高密度観測網データを用いてKiK-net(NIED)の坑内データから推定された工学基盤での加速度振幅(計測震度)により、高密度観測網データを評価すれば観測データによる表層増幅率を得ることになる。さらには、近隣の1㎞メッシュエリアにこの観測値から得られた表層増幅率を補間することにより正確な強震予測を行うことを可能とする。
そこで、今回、2011 年4 月7 日、宮城県沖に発生したM7.1、深さ66 ㎞のイベントを用いて宮城県に設置されたKiK-NET データから工学基盤への入射波の振幅を評価し、宮城県内の表層観測データから表層増幅率を求めた。kik-NET(NIED)の坑内データ(18点)の平均値(170gal)を工学基盤振幅として採用して求めた全表層観測点での表層地盤増幅率を観測点から2㎞以内に存在する1㎞エリアに補間することで面的表層増幅率を示した。
今回の解析は単純に加速度最大振幅で行っているため、本来はスペクトル解析に基づくべきもの、さらにはプレート境界等の深部構造の伝播効果等の影響を考慮しなければならないかが問われるものである。今回の解析は最大加速度振幅を用いているが、先名ほか(2018)、Senna et. al.(2019)が関東地域における浅部・深部統合地盤モデルの構築を行っているように、ボーリングデータ、常時微動観測データ、kik-net、k-net、自治体および気象庁の強震観測データを用いて行っているような解析を本来的には行うべきであろう。
ともあれ、得られた表層増幅率を用いて、宮城県により運営されている計測震度計合計54 点のネットワークデータを用いて、2011年4 月7 日に発生したイベント(M7.1,h=66km,宮城県沖) により、シミュレーションを行った。リアルタイムモニターは発生した地震の全容を把握することを可能に、最大震度分布はその被害予測の把握に役立てることが可能で、被害推定に有用なツールとなる。また、P 波最大振幅を用いた最大震度およびその分布図は発生した地震の実際の震度分布をP波入射とほぼ同時に得ることが可能となり、ある程度の震源の深さを有することから、P 波検知は破壊をもたらすS 波到来周知のための時間的猶予(6~10 秒(深さ50~90 ㎞))をもって周知することができることから有用な対策情報となる。メッシュ単位での詳細な地名検索機能等は具体的な復旧作業等に有力なツールとなるであろう。
気象庁は2007年より被害地震の発生を検知(震度5弱の地域を含む)した場合には”警報”としての緊急地震速報(EEW)を発表している。しかしながら平均で約20㎞の観測点間距離を持つ観測網により震源情報を決定し求めた情報に基づいて震度5弱の地域の出現を判定しているため、地震検知後計約8秒のタイムロスが生じている。それは半径30から40㎞のいわゆうブラインドゾーン(EEWの届かない領域)が存在する。特に内陸直下に発生する被害地震に際し、もっとも被害の集中する震央域(破壊域に)警報が届かないことを意味し、問題視されることが懸念される。元来内陸地殻直下に単独のアスペリティで発生する最大級の地震のサイズは地殻の暑さからの制限によりM7 前後に留まるようである。M7前後の地震の破壊域の長さは30~40㎞を示し、その震源域はたいていの場合1つの県の中に納まるサイズであり、複数にまたがっても2~3県にまたがるのみであり、”災害対策の自助”の観点から観ても自治体が独自に得ても然るべき情報といえる。1995年の阪神淡路大震災の後、気象庁指導のもとで整備された全国の自治体震度計の仕様の主な点は、地震検知から10秒ごとの震度を1分間計測してそのうちのの最大値を各地の震度として当初はモデム通信により、その後はインターネット回線により3分後には集計するというものであり、現在も引き続き行われている。国の防災機関である気象庁は、自治体が独自のリアルタイム回線で集約したデータを本発表で示した手法による処理結果を集約することで、ブラインドゾーン無しでEEWの発信が膨大な金額に上る通信費を抑制して実現可能となるであろう。自治体の1つである鳥取県では全国に先駆けて、自治体震度計の秒パケットデータを県独自の通信網で県庁に集約し、リアルタイム震度および最大震度分布を示すシステムが構築され(香川、2018)、現在その情報をweb配信により県内各市町村への配信を計画していると聞く。
今後は、他の各自治体(各都道府県)の運用する計測震度網にも適用可能であり、また自治体よりも狭い範囲で運用されている鉄道等の管制用・保線用計測震度計ネットワークデータにも活用可能であり、今後の適用を提案していきたい。
しかしながら、地形およびS 波速度から表層増幅率を求めた(J-SHIS)による強震動予測には実際の揺れと隔たりがあることが指摘されている。宮城県には宮城県(自治体)、気象庁、k-netおよびkik-net(NIED)を合わせると合計約75台の計測震度計が存在し、その観測点間距離は平均2㎞となり、この高密度観測網データを用いてKiK-net(NIED)の坑内データから推定された工学基盤での加速度振幅(計測震度)により、高密度観測網データを評価すれば観測データによる表層増幅率を得ることになる。さらには、近隣の1㎞メッシュエリアにこの観測値から得られた表層増幅率を補間することにより正確な強震予測を行うことを可能とする。
そこで、今回、2011 年4 月7 日、宮城県沖に発生したM7.1、深さ66 ㎞のイベントを用いて宮城県に設置されたKiK-NET データから工学基盤への入射波の振幅を評価し、宮城県内の表層観測データから表層増幅率を求めた。kik-NET(NIED)の坑内データ(18点)の平均値(170gal)を工学基盤振幅として採用して求めた全表層観測点での表層地盤増幅率を観測点から2㎞以内に存在する1㎞エリアに補間することで面的表層増幅率を示した。
今回の解析は単純に加速度最大振幅で行っているため、本来はスペクトル解析に基づくべきもの、さらにはプレート境界等の深部構造の伝播効果等の影響を考慮しなければならないかが問われるものである。今回の解析は最大加速度振幅を用いているが、先名ほか(2018)、Senna et. al.(2019)が関東地域における浅部・深部統合地盤モデルの構築を行っているように、ボーリングデータ、常時微動観測データ、kik-net、k-net、自治体および気象庁の強震観測データを用いて行っているような解析を本来的には行うべきであろう。
ともあれ、得られた表層増幅率を用いて、宮城県により運営されている計測震度計合計54 点のネットワークデータを用いて、2011年4 月7 日に発生したイベント(M7.1,h=66km,宮城県沖) により、シミュレーションを行った。リアルタイムモニターは発生した地震の全容を把握することを可能に、最大震度分布はその被害予測の把握に役立てることが可能で、被害推定に有用なツールとなる。また、P 波最大振幅を用いた最大震度およびその分布図は発生した地震の実際の震度分布をP波入射とほぼ同時に得ることが可能となり、ある程度の震源の深さを有することから、P 波検知は破壊をもたらすS 波到来周知のための時間的猶予(6~10 秒(深さ50~90 ㎞))をもって周知することができることから有用な対策情報となる。メッシュ単位での詳細な地名検索機能等は具体的な復旧作業等に有力なツールとなるであろう。
気象庁は2007年より被害地震の発生を検知(震度5弱の地域を含む)した場合には”警報”としての緊急地震速報(EEW)を発表している。しかしながら平均で約20㎞の観測点間距離を持つ観測網により震源情報を決定し求めた情報に基づいて震度5弱の地域の出現を判定しているため、地震検知後計約8秒のタイムロスが生じている。それは半径30から40㎞のいわゆうブラインドゾーン(EEWの届かない領域)が存在する。特に内陸直下に発生する被害地震に際し、もっとも被害の集中する震央域(破壊域に)警報が届かないことを意味し、問題視されることが懸念される。元来内陸地殻直下に単独のアスペリティで発生する最大級の地震のサイズは地殻の暑さからの制限によりM7 前後に留まるようである。M7前後の地震の破壊域の長さは30~40㎞を示し、その震源域はたいていの場合1つの県の中に納まるサイズであり、複数にまたがっても2~3県にまたがるのみであり、”災害対策の自助”の観点から観ても自治体が独自に得ても然るべき情報といえる。1995年の阪神淡路大震災の後、気象庁指導のもとで整備された全国の自治体震度計の仕様の主な点は、地震検知から10秒ごとの震度を1分間計測してそのうちのの最大値を各地の震度として当初はモデム通信により、その後はインターネット回線により3分後には集計するというものであり、現在も引き続き行われている。国の防災機関である気象庁は、自治体が独自のリアルタイム回線で集約したデータを本発表で示した手法による処理結果を集約することで、ブラインドゾーン無しでEEWの発信が膨大な金額に上る通信費を抑制して実現可能となるであろう。自治体の1つである鳥取県では全国に先駆けて、自治体震度計の秒パケットデータを県独自の通信網で県庁に集約し、リアルタイム震度および最大震度分布を示すシステムが構築され(香川、2018)、現在その情報をweb配信により県内各市町村への配信を計画していると聞く。
今後は、他の各自治体(各都道府県)の運用する計測震度網にも適用可能であり、また自治体よりも狭い範囲で運用されている鉄道等の管制用・保線用計測震度計ネットワークデータにも活用可能であり、今後の適用を提案していきたい。