JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM18] Paleomagnetism and rock magnetism applied to solving geological and geophysical problems

コンビーナ:Martin Chadima(Institute of Geology of the Czech Academy of Sciences)、Balazs Bradak(神戸大学)、Daniel Pastor-Galan(Center for North East Asian Studies, Tohoku University)、Myriam Annie Claire Kars(Center for Advanced Marine Core Research)

[SEM18-06] 伊能忠敬の磁針測量方位角原簿 国宝「山島方位記」から19世紀初頭の日本列島の地磁気偏角を解析する(第14回報告)

*辻本 元博1面谷 明俊2 (1.なし、2.山陰システムコンサルタント)

キーワード:伊能忠敬の山島方位記、地磁気偏角、等偏角線、NOAA's 400 year's declination viewer、Andrew Jackson etal GUFM1

国宝「山島方位記」は日本人地図測量家伊能忠敬による日本最初の測量地図である伊能図(三万肋千分の一、二十一万六千分の一、四十三万分の一)作成の為の1800年~1816年迄の北海道東岸から屋久島迄の推計約20万件の精度0度05分単位の磁針測量方位角を記録した67巻の陸上測量原簿である。「山島方位記」には0度05分単位の精度の磁針測量方位角、磁針測量実施基点、測量対象地点が名称や短い記述と共に記録されている。伊能測量隊は磁針偏差(地磁気偏角)の補正をせずに測量を実行した。なぜなら測量出発前に
伊能は江戸(東京)で磁針偏差の測定をを試みたが、殆ど0度であった。伊能は日本地図の測量上の磁針偏差の影響は最小であるとの仮定で測量を遂行した。しかしながら長い日本列島では各地方の地磁気偏角は異なる。測量実施基点及び測量対象地点の概略位置を山島方位記や伊能図に記された磁針測量方位角、或いは測量日記に記された場所の名称、近代初期の測量地図、現代のコンピューター地図、GPS、郷土史書、同地図等と照合することから始める。 真方位角から磁針測量方位角を差し引いた地磁気偏角がどの測量対象地点に付いても同一或いは近似になる測量実施基点の詳細位置をエクセル計算式を使って逆算することができる。郷土史の史料やコンピューター地図と再度照合し、詳細な位置を調整する。我々は国宝「山島方位記」から測量実施地点詳細位置(緯度経度0.2秒台詳細位置(緯度経度0.2秒台目標)及び測量対象地点、真方位、地磁気偏角の同時解析をしている。既にGaussとWeberが作成したAtlas des Erdmagnetimusの日本列島周辺の等偏角線を修正案を提示した。
NOAAアメリカ海洋大気庁がAndrew Jackson etal GUFM1iに基づき作成した400 Year's Historical Declination Viewerの日本列島付近の等偏角線とも比較すると、NOAAは西偏増加がいつも5年以上遅い。我々は伊能忠敬の「山島方位記」からの解析データをAndrew Jackson GUFM1とNOAAの400 year's declination Viewerへの投入すべく準備中である。