JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM19] Earth and planetary magnetism: Observations, modeling, and implications on dynamics and evolution

コンビーナ:小田 啓邦(産業技術総合研究所地質情報研究部門)、高橋 太(九州大学大学院理学研究院)、Courtney Jean Sprain(University of Florida)、臼井 洋一(海洋研究開発機構)

[SEM19-P04] 太平洋赤色泥における白亜紀―古第三紀境界付近の古地磁気記録

*臼井 洋一1山崎 俊嗣2大田 隼一郎3,4,1佐藤 峰南4石川 晃5 (1.海洋研究開発機構、2.東京大学大気海洋研究所、3.東京大学大学院工学系研究科エネルギー・資源フロンティアセンター、4.千葉工業大学次世代海洋資源研究センター、5.東京工業大学理学院地球惑星科学系)

赤色泥は太平洋の海底の多くを覆っている。酸化的な赤色泥中では磁性鉱物が還元的な変質作用を被らないため、これらの堆積物は古地磁気および環境磁気研究に適していると期待される。しかし、赤色泥から古地磁気データを得ることはしばしばうまく行かず、酸化的な変質作用の影響とも言われている。また、そもそも赤色泥は絶対年代の決定が難しいため、極性が得られたとしても極性年代と対応付けることは一般には困難である。本発表では、南鳥島周辺で新たに発見された白亜紀―古第三紀境界(K-Pg境界)を年代の基準点とし、その周辺の古地磁気測定結果を議論する。この海域は集中的な研究が行われており、71本のピストンコアが回収されている。K-Pg境界は膠着質有孔虫による年代制約と詳細なイリジウム測定、および帯磁率による対比により、複数のコアで見いだされた。古地磁気測定は2本のコアについて行った。交流消磁、熱消磁の両者で特徴磁化方位が求まり、コア間で調和的な極性パターンが得られた。K-Pg境界より下位の肉眼および化学マッピングでは層状構造が見られ、生物擾乱や大きなハイエイタスの影響はないと考えられる。古地磁気層序から、コア最下部は後期カンパニアンであり、白亜紀の堆積速度はおよそ1.5 mm/kyrであると推定された。中生代の赤色泥からも古地磁気層序が得られたことから、酸化的な変質作用は古地磁気に対し重大な影響を与えないことがわかった。今後詳細な古地磁気測定を行うことで、K-Pg境界付近での太平洋プレートの位置について制約が与えられると期待される。ところで、ピストンコアによってカンパニアンまで到達したことは、新生代のどこかで大きなハイエイタスがあったことを示唆する。音響探査からも、南鳥島周辺の堆積物の厚さは不均質であることがわかっている。これらから、中生代の赤色泥も、高価な深部掘削を行わずとも、ピストンコアや浅部掘削によって地理的に広い範囲から得られる可能性が示唆される。