JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM21] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

コンビーナ:松野 哲男(神戸大学海洋底探査センター)、畑 真紀(東京大学地震研究所)

[SEM21-11] MT法3次元解析の地熱探査への適用と課題

★招待講演

*内田 利弘1 (1.産業技術総合研究所)

キーワード:MT法、3次元解析、インバージョン、地熱

日本では1980年代初めにmagnetotelluric (MT)法の地熱資源探査への適用が始まった。当初は、日本では電磁的なノイズが強いこと、および、測定やデータ処理・解析技術の未熟さ・困難さから、調査で得られるデータの品質や比抵抗構造の解析結果は、地熱開発事業者等が地熱貯留層の存在を検討するために用いることのできるレベルに達していないケースも多かった。しかし、1990年代になってMT法の2次元インバージョン解析手法が開発され、より信頼性の高い比抵抗構造モデルが得られるようになるとともに、測定装置が革新(24ビットA/D、GPS時刻同期、省電力消費、軽量化など)されると、測定の効率は格段に向上し、測定されるデータの品質も向上した。



一方で、2次元解析が普及するにつれ、元来、構造の3次元性が強い地熱地域に対して2次元解析を適用することに限界があることが認識されるようになった。2000年代になって3次元インバージョン解析プログラムが開発され、地熱地域に適用され始めると、地熱貯留層の存在を示唆する、より信頼性の高い3次元比抵抗構造モデルを提供できるようになった。さらに2010年代には、地熱地域において3次元MT法調査は一般的に実施され、地熱探査に不可欠であるという認識が一般的になった。しかし、その反面、地熱開発事業者が3次元MT法調査に過剰な期待を持ってしまう場合も生じている。



現在、いくつかの3次元解析プログラムが広く世界に普及している。本報告では、筆者が開発に関与したプログラムによる解析例やその他の地熱地域の適用例に基づいて、3次元解析の課題について考察する。