[SEM21-P06] マルチチャンネル特異スペクトル解析 (MSSA) を用いた房総MTデータの解析
キーワード：雑音除去、マルチチャンネル特異スペクトル解析、MT法、房総半島
房総半島は、近傍に太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートが集まる3重会合点があり、地殻変動が活発なところである。房総沖は延宝地震、南房総地域は、1702年元禄関東地震、1923年大正関東地震の震源域であり、また、最近では勝浦沖で数年毎に発生するスロースリップイベントが確認されている。過去の大地震の震源域やプレート境界の比抵抗構造を調査するために、千葉大学では2014-2016年に房総半島において広域MT探査を実際した。観測は、U43を用いた１Hzサンプリングの長期観測点が12点、MTU-5, MTU-5Aを用いた2400、150、15Hzの短期観測点が41点で行われた。しかし、房総半島では、半島を囲むように走っている直流電車や工場などからの漏洩電流により、取得されたMTデータに含まれる人工雑音の影響が非常に大きい。房総MTデータに対し、気象庁女満別の地磁気1 Hzデータを用いた従来のリモートリファレンス法を適用したが、雑音除去の効果は不十分であった。そこで、本研究ではマルチチャンネル特異スペクトル解析（Multi-channel Singular Spectrum Analysis：MSSA）を用いる時系列データの雑音除去を、MT解析の前処理として適用した。MSSAのパラメータとしてウィンドウ長とデータ長および主成分のグルーピングがある。これらのパラメータを変化させることで、房総MTデータの雑音除去の効果を詳細に調査した。今回はパラメータによる雑音除去の効果とMT解析結果について報告する。