JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM21] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

コンビーナ:松野 哲男(神戸大学海洋底探査センター)、畑 真紀(東京大学地震研究所)

[SEM21-P08] 2018年霧島新燃岳噴火時のMTデータに記録された電磁場変動について

*安仁屋 智1相澤 広記2松島 健2 (1.九州大学大学院理学府地球惑星科学専攻、2.九州大学大学院理学研究院所属・地震火山観測研究センター)

キーワード:電磁場変動、爆発的噴火、空振、地震動、新燃岳

新燃岳は、九州地方の霧島火山群中央部に位置する活火山である。2011年1月に約300年振りのマグマ噴火が発生し、6年後の2017年10月と2018年3月から6月にかけて再び噴火が発生するなど、近年特に活動的な火山の1つである。本研究では、新燃岳近傍で記録された広帯域MT(地磁気・地電流)観測データを用いて、火山噴火に伴う特徴的な電磁場変動と地震計や空振計のデータとの関連を議論する。
 2018年3月から6月の期間において、気象庁火山活動解説資料に抜粋された20のイベントを対象として、2観測点(新燃岳火口から①北西に約5.1km②西南西に約3.2㎞)で記録されたMTデータと、②の観測点から30m程度離れた場所に合わせて設置された地震計・空振計データを使用した。サンプリング周波数はMTデータが32Hz、地震・空振データは200Hzであり、地震計の固有周波数は1Hzである。各イベント時のMT生データを、フーリエ変換、逆フーリエ変換により測定機器の周波数特性を考慮して、物理量(mV/km, nT)の時系列データを取得した。また地震計・空振計データについても同様に、物理量(μm/s, Pa)の時系列データを取得した。
 爆発的噴火時の電磁場変動について、地震動上下成分、空振成分と比較したところ、到来時刻が時間的によく一致した。地震動については初動時刻と電磁場変動の開始時刻は0.2秒差程度で一致した。また空振に伴う圧縮相の最大振幅時刻と電磁場変動の最大振幅時刻も0.2秒差程度で一致しており、波形の形状も非常に似ている。このため、噴火に伴う地震動、および空振が観測点に到来し、観測点のごく近傍で電磁場変動を生じていると結論される。
 地震動による電磁場変動については多くの先行研究があるが、空振による電磁場変動についての文献は見られない。本研究では、2観測点での電磁場変動と、近傍で観測された地震動・空振の関係を整理し、電磁場変動の原因について議論する。