JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM22] 地磁気・古地磁気・岩石磁気

コンビーナ:佐藤 雅彦(東京大学地球惑星科学専攻学専攻)、加藤 千恵(九州大学比較社会文化研究院)

[SEM22-P04] 磁極逆転の存在する数値ダイナモモデルに於ける速度及び磁場の赤道対称性の解析

*解良 拓海1加藤 雄人1西田 有輝1松井 宏晃2 (1.東北大学、2.カリフォルニア大学)

キーワード:地磁気、地球ダイナモ、地磁気逆転、赤道対称性

古地磁気の観測により,地磁気の向きは数十万年から数百万年ごとに変化してきたことが明らかとなっている。地磁気が現在と同じ向きの正磁極期と,現在とは逆向きである逆磁極期を経てきたこと,地磁気極性は数万年の時間スケールで逆転することが示されている。古地磁気の観測により示唆された反転の物理プロセス及び時間的特徴を解明するために,シミュレーション研究が行われてきた。Olson et al. (2011)は数値ダイナモシミュレーションを,異なるレイリー数(Ra)とエクマン数(Ek)で実施することにより,磁場構造と地磁気極性反転との対応を調べた。その結果,Ekが小さく自転が卓越するパラメータ領域では,反転が起こらず双極子の卓越した磁場構造が形成されることに対して,Raが大きく浮力が卓越するパラメータ領域では,反転を頻繁に起こすマルチポールの卓越した磁場構造が形成されることが示された。これら二つのレジームに挟まれたパラメータ領域では,反転の頻度が小さく,ダイポールの卓越した磁場構造が形成された。さらにOlson et al. (2011)では極性反転に至る遷移過程について,3万5千年程度の長期間にわたる磁場構造と強度の変動の後,400年程度での急激な反転を起こし,極性の反転に至っていることが示された。しかし,各phaseを特徴付ける物理プロセスや,逆転の時間スケールを決定する要因については,未解明の問題として残されている。Olson et al., (2004) は,規則的に起こる反転のメカニズムとして子午面循環により局所的に生じた逆転磁場領域が全球に輸送されると結論しており,このことは,流れの赤道反対称的な構造が卓越が反転に寄与していることを示唆している。
本研究では,数値ダイナモ公開コードCalypso [Matsui et al., 2014]を用いて,地磁気極性反転における物理プロセスと,逆転の時間的特性のパラメータ依存性を明らかにする。特に,赤道反対称な流れの地磁気逆転への寄与を調べる。内核外核半径比ri/ro = 0.15 ,エクマン数Ek = 10-3,プラントル数Pr = 1,磁気プラントル数Pm = 5でそれぞれ固定し,レイリー数をRa = 980,1100,1200,1300と変え,磁気拡散時間 td = 4 まで計算し,双極子磁場の傾き角度の時間変化を調べた。概ねRa数の増加とともにダイポール磁場の不安定化が見られた。Ra = 980では計算時間の間,反転を起こすことなく安定していた。Ra = 1100では,td = 4 近くで逆極性近くまで傾いており,逆転の過程である可能性がある。Ra = 1200では,2.0 td < t < 3.5 td では正磁極となっており,td = 4 付近で逆磁極に戻っていた。Ra = 1300では 2.0 td < t < 3.5td においては逆磁極,1.0 td < t < 2.0 td 及び 3.5 td < t < 4.0td では正磁極となっていた。今後は,現在の地球と同じ半径比 ri/ro=0.35 でも計算を行い,速度場,磁場エネルギーの対称・反対称成分の時間変化を解析する。さらに,赤道反対称な構造がいかに生成・維持されているか,流れと磁場エネルギーの赤道対称,反対称成分の間の輸送に着目して議論する予定である。