[SGD02-03] 丸い島における地下水潮汐の理論-桜島などの火山島における高精度な重力解析を目指して
キーワード:地下水、潮汐、重力、火山島、桜島
重力の連続観測によって火山地域の物質移動を探る研究が各地で進められている。エトナ火山((Panepito et al. 2008)や浅間火山・桜島火山(Okubo et al. 2012)はその一例である。このような重力解析において必要となる補正としては、固体地球潮汐、海洋荷重潮汐、及び気圧擾乱(大気荷重)などがあり、これらはmicrogal程度かそれより良い精度で補正が可能となっている。しかし、これらの潮汐補正を施したにもかかわらず、海岸近くの観測点では潮汐周期の振動が重力記録に認められることがある。この潮汐変動は火山島における短期的な(タイムスケール<半日)物質移動を研究するうえで、大きな障害要因となる。
この重力変動の原因として有力なものが、海岸での海洋潮汐によって駆動された、内陸部の不圧地下水振動である。多くの地下の岩石や土壌の透水係数Kは0.01 cm/s以下であるから、内陸部への影響は海岸から数十m程度に限定されるのが普通である。しかし、自破砕溶岩が海面付近に分布することが多い火山島においては、透水係数Kが数十倍以上になることも予想され、内陸部でもなお大きな地下水潮汐が生じると考えられる。実際、桜島においては、海岸から1km程度離れた有村観測坑における地下水面は、振幅0.3mの潮汐振動を示している。砂礫程度の空隙率0.2を仮定すると、地下水潮汐の影響は2~3microgalと観測精度以上の値となり、その適切な補正が必要となる。
本研究では、まず円形の火山島を考え、海洋潮汐によって駆動される地下水面高の変動の解析的な式を与える。次に、その結果を用いて、桜島の有村観測坑における地下水位変動を説明する透水係数としてK~1 cm/secを得た。この透水係数のもとで地下水重力擾乱の補正ソフトGwater-3D(Kazama)を走らせて、2009年~2019年の長期的な重力データを補正したところ、豪雨の後でも非常にリーズナブルな重力変動が得られた。理論的に導かれる地下水変動にもとづいて、それが重力潮汐へ及ぼす効果も計算可能である。予備的な見積もりでは、潮汐振動する地下水起源の重力変動は、実測値(観測値から固体潮汐・海洋潮汐を補正した残差)の振幅・位相とも良い一致を見せている。以上のことから、次のような結論が導かれる。
1)火山島あるいはそれに類する半島では海岸から1km程度離れた内陸部であっても、不圧地下水位に潮汐変動が生じることがあることが、理論および観測の双方から示された。
2)不圧地下水面の潮汐変動は、観測誤差を超える有意な重力変動として現れることがありえることも、理論および観測の双方から示された。
この重力変動の原因として有力なものが、海岸での海洋潮汐によって駆動された、内陸部の不圧地下水振動である。多くの地下の岩石や土壌の透水係数Kは0.01 cm/s以下であるから、内陸部への影響は海岸から数十m程度に限定されるのが普通である。しかし、自破砕溶岩が海面付近に分布することが多い火山島においては、透水係数Kが数十倍以上になることも予想され、内陸部でもなお大きな地下水潮汐が生じると考えられる。実際、桜島においては、海岸から1km程度離れた有村観測坑における地下水面は、振幅0.3mの潮汐振動を示している。砂礫程度の空隙率0.2を仮定すると、地下水潮汐の影響は2~3microgalと観測精度以上の値となり、その適切な補正が必要となる。
本研究では、まず円形の火山島を考え、海洋潮汐によって駆動される地下水面高の変動の解析的な式を与える。次に、その結果を用いて、桜島の有村観測坑における地下水位変動を説明する透水係数としてK~1 cm/secを得た。この透水係数のもとで地下水重力擾乱の補正ソフトGwater-3D(Kazama)を走らせて、2009年~2019年の長期的な重力データを補正したところ、豪雨の後でも非常にリーズナブルな重力変動が得られた。理論的に導かれる地下水変動にもとづいて、それが重力潮汐へ及ぼす効果も計算可能である。予備的な見積もりでは、潮汐振動する地下水起源の重力変動は、実測値(観測値から固体潮汐・海洋潮汐を補正した残差)の振幅・位相とも良い一致を見せている。以上のことから、次のような結論が導かれる。
1)火山島あるいはそれに類する半島では海岸から1km程度離れた内陸部であっても、不圧地下水位に潮汐変動が生じることがあることが、理論および観測の双方から示された。
2)不圧地下水面の潮汐変動は、観測誤差を超える有意な重力変動として現れることがありえることも、理論および観測の双方から示された。