JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学

コンビーナ:松尾 功二(国土交通省国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、岡 大輔(地方独立行政法人北海道立総合研究機構環境・地質研究本部地質研究所 )

[SGD02-05] 航空重力測量における解析手法の検討

*飯尾 研人1吉樂 絵里香1大森 秀一1栗原 忍1越智 久巳一1矢萩 智裕1河和 宏1松尾 功二1兒玉 篤郎1冨山 顕1半田 優実1 (1.国土地理院)

キーワード:航空重力測量、重力ジオイド・モデル

近年では自動運転、ICT施工、スマート農業、ドローン物流といった様々な分野において3次元空間でのリアルタイムで高精度な位置情報サービスが求められている。このような衛星測位による新たなサービスの実現には、高さの情報を標高とする3次元位置情報を誰もが利活用できる環境の整備が必要である。衛星測位から高精度な標高を得るためには、均一でより精度の高いジオイド・モデルが重要となる。そこで、国土地理院では全国の重力データを短時間で均質かつ高密度に取得するために、2019年度から航空重力測量による重力の測定を開始している。2022年度までに離島を除く全国の航空重力データを整備し、2023年度では航空、地上、衛星、海上の重力データを組み合わせ、精度3cmを目標に新たな精密重力ジオイドを構築する予定である。さらに、この精密重力ジオイドを用いて標高を決定する新たな仕組みを2024年度までに構築し、誰もが衛星測位で簡単に高精度な標高を取得できる社会を目指す。

2019年度は、航空重力測量により取得したデータの解析手法とその品質評価の検討を行った。航空重力測量において冬季の東西方向を測定する場合は、上空の偏西風の影響により対地速度が大きく異なる。そのため、データを一定の時間間隔で取得した場合は、データの密度も対地速度に依存して変わってくる。解析では取得したデータにフィルター処理を施しているが、測定時の対地速度に応じたフィルター長を与えなければ、適切な解析結果が得られない。本発表では、このような解析手法の検討のほか、航空重力測量の実施状況、測定結果、品質評価方法の検討及び今後の展望について報告する。