JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学

コンビーナ:松尾 功二(国土交通省国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、岡 大輔(地方独立行政法人北海道立総合研究機構環境・地質研究本部地質研究所 )

[SGD02-08] 準天頂衛星システムによるセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)の測量利用に向けた精度評価

*古屋 智秋1野神 憩1黒石 裕樹1齋田 宏明1石川 典彦1三和 功喜1 (1.国土地理院)

キーワード:GNSS、準天頂衛星システム、センチメータ級測位補強サービス

平成30年11月、我が国の衛星測位システムである「準天頂衛星システム(QZSS)」のサービスが正式に開始された。そのサービスのうちセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)は、衛星から発信される補正情報を活用することにより、ほぼ日本全国を対象として数cm程度の精度で位置情報を取得することが可能であるとされている。国土地理院では、このCLASを活用した測量方法の確立に向けて、現地試験観測や電子基準点の観測データを用いてCLASの仕様や精度を確認するとともに、測量への適用の観点から正確性や信頼性を向上させるための手法の開発を進めている。

平成31年度(令和元年度)は、市販のCLAS対応の受信機(AQLOC-VCX)を用い、全国6地区においてCLASによるリアルタイム測位を実施するとともに、電子基準点71点の観測データを用い、CLASLIB(CLASによる測位が可能なテストライブラリ:内閣府)による後処理測位を実施し、それらの測位解を評価した。なお、電子基準点71点は、CLASが全国を19地域のネットワークに分割し、そのネットワークに応じた補正情報を提供する仕様となっている(現在、補正情報が提供されているのは12地域)ため、CLASのネットワーク毎にほぼ同数選択するとともに、ネットワークの境界に位置する観測点からも選択した。

得られた結果から以下のことがわかった:ほぼ全ての測位解がCLASの仕様精度(95%信頼区間:水平6cm、鉛直12cm)を満たした一方で、広域の範囲に共通して、バラツキが比較的大きく、ミスFIXが疑われる測位解が得られる時間帯もみられた。今後、測量への適用に向けて、測位結果の活用方法(例:平均化する時間長)の検討等を進めていく。