JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD02] 測地学

コンビーナ:松尾 功二(国土交通省国土地理院)、横田 裕輔(東京大学生産技術研究所)、岡 大輔(地方独立行政法人北海道立総合研究機構環境・地質研究本部地質研究所 )

[SGD02-11] 測地分野での応用に向けた低価格GNSSアンテナ・受信機の性能評価

*小門 研亮1 (1.国土地理院)

キーワード:GNSS、低価格、アンテナ、受信機、性能評価

国土地理院は日本全国に約1,300点の電子基準点を整備し,その観測データ及び解析結果を提供することで正確な位置の基準を与えている.電子基準点の平均点間隔は約20kmであり,測量の位置の基準や大規模地震等の変動監視に対しては十分な検知能力を持つ.しかし空間スケールが比較的小さい内陸型地震やスロースリップ等の小スケールの地殻変動については電子基準点が必ずしも近傍に存在するとは限らず,ごく少数の観測点において小さな変動シグナルしか得られないことがある.

電子基準点間のより小さなスケールの地殻変動を検出するには,より高密度にGNSS連続観測局を設置することが必要であるが,測量用のGNSSアンテナや受信機による連続観測点の設置には,多大な製造コスト・運用コストや設置の労力がかかり, GNSS連続観測局数を劇的に増加させることは難しい.一方で近年,GNSS測位技術の進展により,測量用のGNSSアンテナや受信機以外にも,数千円~数万円で購入可能な低価格の小型GNSSアンテナ(以下「低価格アンテナ」という.)及びGNSS受信機モジュール(以下「低価格受信機」という.)が普及し始めており,これらの機器による民間等のGNSS連続観測局の増加も見込まれる.

現在,国土地理院では既存の電子基準点に加え,民間等のGNSS連続観測局を測量や測位,地殻変動監視等の分野で有効に活用するための取り組みを進めており,これらの観測局での使用が見込まれる低価格アンテナ及び受信機の測位性能評価も実施している.測位性能評価では,複数のメーカーによる低価格のアンテナとu-blox社製の低価格受信機「ZED-F9P」を使用し,国土地理院構内の測量用検定架台及び国土地理院の庁舎屋上において,測量用のGNSS機器との性能比較や位相特性変動量の試算等を実施した.また,国土地理院構内の3点に数か月間,低価格GNSSアンテナ及び受信機を設置し,連続観測による時系列安定度などの確認を実施した.

本発表では,低価格アンテナ及び受信機の現状と性能評価結果、これらを用いたGNSS連続観測の精度評価結果を報告する.