[SGL33-P05] トムラウシ地域の日高帯分布域に新たに発見された“下部中新統”チカプペツ層とそのテクトニックな意義
キーワード:堆積年代、ジルコンU-Pb年代、LA-ICP-MS、チカプペツ層、日高帯、前期中新世
トムラウシ地域の日高累層群中には,チカプペツ層と呼ばれる周囲の地層とは固結度の大きく異なるやや軟弱な砂岩泥岩互層の存在が知られていた.今回,チカプペツ層中の酸性凝灰岩とタービダイト砂岩からジルコン粒子を分離し,ジルコンU-Pb年代を測定した結果,19.5 ± 0.1 Maと22.5 ± 0.7 Ma(前期中新世)を示す年代値が得られた.また,石灰質ノジュール1試料から前期中新世を示す珪藻化石群集が得られたことから,その堆積年代は23〜20 Maと理解された.これまでも日高帯分布域には,後期漸新世の堆積年代を示す襟裳層や立牛層の挟在が明らかにされており,この時期に大規模な右横ずれ変位が開始されていたことが判明している.チカプペツ層は前期中新世に,同様の右横ずれ変位に伴って発生した海成層と考えられる.
本研究はJSPS科研費JP 19K04025の助成を受けたものである.
本研究はJSPS科研費JP 19K04025の助成を受けたものである.