JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL34] 地球年代学・同位体地球科学

コンビーナ:田上 高広(京都大学大学院理学研究科)、佐野 有司(東京大学大気海洋研究所海洋地球システム研究系)

[SGL34-02] 九重火山のK-Ar年代とAr/Ar年代の比較研究

*山﨑 誠子1Miggins Daniel2Koppers Anthony2星住 英夫1 (1.国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター、2.オレゴン州立大学)

キーワード:九重火山、感度法K-Ar年代測定、40Ar/39Ar年代測定

本研究では九重火山から採取した5試料について感度法によるK-Ar年代および40Ar/39Ar年代の比較実験を行った。全ての試料について分離した石基を測定し、1試料については黒雲母、角閃石、斜長石についても40Ar/39Ar年代測定を試みた。感度法K-Ar年代測定では、初期Ar同位体の質量分別を補正することで、特に若い(<0.5 Ma)試料に対してより正確な年代値が得られる。一方、40Ar/39Ar年代測定では、インバースアイソクロンを用いて初期Ar同位体を評価可能である。今回、40Ar/39Ar年代測定システムにおいて試験的に中性子照射なしの石基試料についての段階加熱分析も実施し、得られた38Ar/36Arデータを感度法K-Ar年代測定システムによるデータと比較した。

得られたK-Arと40Ar/39Ar年代は、誤差範囲内で一致し、既報のK-Ar法、TL法、FT法14C法による年代とも調和的であった。両手法で求めた初期Ar同位体組成については、ほとんどの試料について大気組成と一致するか低い38Ar/36Ar組成を示した。今回測定した中で最も若い松の台岩屑なだれ堆積物中の本質岩塊については、初期値補正を適用しない場合にはマイナスの年代が算出されたが、補正することで36±12 ka(感度法K-Ar)、16±4 ka(Ar/Ar)の年代値が得られた。補正の前後で最大約10万年の差が見られ、特に若い試料については初期値を勘案した年代値の検討が重要であることを再確認した。