JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP38] 変形岩・変成岩とテクトニクス

コンビーナ:中村 佳博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、針金 由美子(産業技術総合研究所)

[SMP38-P20] 中部地方渋川地域三波川帯において発見した,超苦鉄質岩体中でのヒスイ輝石の産出

*塩谷 輝1道林 克禎1纐纈 佑衣1榎並 正樹1 (1.名古屋大学)

キーワード:三波川帯、超苦鉄質岩、ヒスイ輝石、ロジン岩

三波川帯は西南日本を代表する高圧型変成帯である.
渋川地域は愛知県と静岡県の県境に位置し,三波川結晶片岩類と御荷鉾緑色岩類から構成される.三波川結晶片岩類は泥質,砂質,珪質片岩から構成され,御荷鉾緑色岩類は,角閃岩,変ハンレイ岩,超苦鉄質岩の岩体を伴う緑色岩が優勢である.両者はこの地域で交錯している.先行研究によりこの地域では,ヒスイ輝石や藍閃石,ローソン石のような青色片岩相の指標の産出が報告されている.特に,ヒスイ輝石は超苦鉄質岩に囲まれた変ハンレイ岩中やローソン石を伴う結晶片岩中で産出する(Seki, 1960; Seki et al., 1960).
我々が行った野外調査により,ヒスイ輝石を伴う細脈は,渋川超苦鉄質岩体のダナイトブロック中で発見した.細脈はダナイトブロックを横切り,幅は約5mmである.細脈はヒスイ輝石に加え,ディオプサイドやグロシュラー,緑泥石,残留したカンラン石と微量の自形な磁鉄鉱から構成される.ヒスイ輝石の粒子はグロシュラー粒子中に他形のパッチとして産出し,粒径は100µm以下である.
ヒスイ輝石の主要元素組成は,NaとAlに富み(Na2O=14.7-15.4 wt.%; Al2O3=24.3-25.5 wt.%),Caに乏しい(CaO=0.4-1.3 wt.%).Jadeite値(=(Na-Fe3+) /(Na+Ca)×100)は92-97%である.
本研究では,我々は,詳細なヒスイ輝石の産状及び化学組成を発表し,渋川地域でなぜこの高圧鉱物が現れたのかを議論する.

引用文献
Seki, Y., 1960, Jadeite in Sanbagawa crystalline schists of central Japan. Am. J. Sci., 258, 505-715.
Seki, Y., Aiba, M. and Kato, C., 1960, Jadeite and minerals of meta-gabbroic rocks in the sibukawa district, central Japan. Am. Min., 45, 668-679.