JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-MP 岩石学・鉱物学

[S-MP38] 変形岩・変成岩とテクトニクス

コンビーナ:中村 佳博(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター)、針金 由美子(産業技術総合研究所)

[SMP38-P21] 関東山地・寄居変成岩類の地質年代学-阿武隈変成帯の西南日本延長の可能性

松永 翔太2、*宮下 敦1辻森 樹2青木 一勝3青木 翔吾3 (1.成蹊大学、2.東北大学、3.岡山理科大学)

キーワード:寄居変成岩、阿武隈変成帯、ジルコンU-Pb年代

太平洋型造山帯では,四万十帯-三波川帯のように,非変成付加体とその深部相である低温高圧型変成岩類がペアで存在することが観察される.日本列島において,最も広い分布を持つジュラ紀付加体では,東北日本においては阿武隈帯がジュラ紀付加体の深部相の一部と考えられいる(Hiroi, 1998).一方,西南日本に関しては,阿武隈帯に相当する変成岩類としては,四国地域の大島変成岩類や,九州地域の肥後変成岩類などが挙げられている(Takagi and Arai, 2003).
 関東山地寄居地域には,跡倉ナップの基底部に狭小な変成岩類が分布し,寄居変成岩類(高木,1991)とよばれている.寄居変成岩類は,随伴する花崗岩類のSr同位体初生値などから阿武隈変成岩類との類似が指摘されていたが,原岩堆積年代や変成年代は明らかになっていなかった.
 今回,LA-ICPMSによって,寄居変成岩類に属する泥質片麻岩類中の砕屑性ジルコンのU-Pb年代を測定した結果,阿武隈帯(Hiroi, 1998)とほぼ一致する年代分布が得られ,寄居変成岩類が阿武隈帯の西南日本延長である可能性が高くなった.
 従来から対比されてきた 変成岩類や肥後変成帯と併せて,跡倉ナップのハイマート部分にジュラ紀付加体堆積物を原岩とする変成岩類が広域に分布していた可能性が考えられる.

Hiroi Y et. al., 1998, J. Metamorphic Geol., 16, 67-81.
高木秀雄,1991, 早稲田大学教育学部学術研究 生物学・地学編, 40, p9-25.
Takagi H. and Arai H., (2003),Gondowana Res., 6, 657-668.