JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS04] 強震動・地震災害

コンビーナ:染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)、松元 康広(株式会社構造計画研究所)

[SSS04-P01] 地震ハザード評価のための強震動データベースの構築に向けて

*森川 信之1藤原 広行1岩城 麻子1前田 宜浩1久保 久彦1青井 真1加藤 研一2友澤 裕介2鈴木 文乃2佐藤 俊明3石井 透3島津 奈緒未3宮腰 淳一3小穴 温子3司 宏俊4早川 俊彦5林 孝幸6岸田 夏葵6翠川 三郎7 (1.防災科学技術研究所、2.小堀鐸二研究所、3.大崎総合研究所、4.サイスモ・リサーチ、5.三菱スペース・ソフトウェア、6.東京海上日動リスクコンサルティング、7.東京工業大学)

キーワード:強震動記録、データベース、地震ハザード評価、強震動予測

1995年兵庫県南部地震後、K-NETをはじめとした全国強震観測網による記録が多数蓄積されるとともに一般に公開され、地震学、地震工学の分野で広く活用されるに至っている。そのような中、多くの研究グループから地震動予測式が提案されるなど、強震動予測手法高度化の研究が進展しているが、その基となる強震動データベースはそれぞれ独自に作成されてきた。その結果、採用しているモーメントマグニチュードの値や震源断層モデルが同一地震であっても研究者間で異なることが生じている。これにより、地震動予測手法の組織的な開発や、手法の妥当性を客観的に検証するための強震動データベースが現時点の日本において存在していない。

このような状況を打破するための強震動データベースの構築に向けて、我々は、K-NETおよびKiK-netの公開データ(約100万記録)を対象として試作版データベースを作成した。震源データ(約17,000)として、気象庁による発震時、震源位置、マグニチュードだけでなく、防災科研のF-netによるモーメントテンソル情報も登録した。また、SRCMOD(Mai and Thingbaijam, 2014)による震源断層モデルデータについても一部登録した。観測点データとして、観測点コード、位置情報、地盤情報を登録した。地盤情報については、PS検層データから求められる表層30mの平均S波速度(Vs30)に加えて防災科研のJ-SHISから公開されている地盤情報として、微地形区分に基づくVs30および深部地盤の主要な速度層上面深さも登録した。移設が行われた場合には観測点IDを変えることにより別の観測点として扱えるようにした。強震動データとして、最大加速度、最大速度、計測震度(相当値)、減衰定数5%の加速度応答スペクトル(周期0.02~20秒の59ポイント)を登録した。水平動については、二成分それぞれ(NS, EW)の振幅だけでなく、RotD0、RotD25、RotD50、RotD75、RotD100も登録し、さらに上下動も登録した。

今後、気象庁などの国内だけでなく海外も含めた他機関データ、地震動シミュレーションデータを追加し拡充していく。地震タイプ(地殻内地震、プレート間地震、スラブ内地震)の区別、震源モデルの選定やノイズデータ除去の手順を定めるような登録パラメータの吟味のような技術的課題が残されている。一方で、データベースを更新し維持していく枠組みの構築に向けた取り組みも進める必要がある。