JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS04] 強震動・地震災害

コンビーナ:染井 一寛(一般財団法人地域地盤環境研究所)、松元 康広(株式会社構造計画研究所)

[SSS04-P12] 島根県三瓶山志学地区における微動および重力観測に基づく地盤構造推定

*野口 竜也1糸原 祐太郎1久屋 万由子1西村 武2香川 敬生1 (1.鳥取大学工学部、2.鳥取大学大学院工学研究科)

キーワード:微動観測、重力観測、地盤構造、三瓶山志学地区、2018年島根県西部の地震

2018年島根県西部の地震(Mj6.1)が発生した.この地震により,震源近傍の島根県大田市の三瓶山志学地区では局所的に建物被害が生じた.建物被害の生じた要因を検討するために,この地域の地盤構造を把握することは重要である.本研究では,単点3成分の微動観測を80 地点,アレイ観測1箇所で実施し,水平動と上下動スペクトル比(H/V),位相速度分散曲線を求め,既往の結果と含めてS波速度構造の推定を行った.また,重力観測を51地点で実施し,既存の重力データを含めて解析し,重力異常を求め,密度構造の推定を行った.

微動H/Vの特徴としては2つの明瞭なピークがみられる地点が多く,0.2秒付近の短周期側と1~2秒付近の長周期側にピークがあり,特に長周期側のピークはどの地点でもみられた.卓越周期分布は,第四紀火山の三瓶山の火山堆積物による堆積層の地盤構造が影響していると思われる.卓越周期分布をみると南傾斜の地形に関係なく,東から西へ周期が長くなる傾向がみられた.微動アレイ観測の解析結果では,S波速度170m/s~250m/sの軟弱な地盤の層厚が40m程度,硬質な堆積岩に対応するS波速度700,1300m/sの層厚はそれぞれ200m,500m程度であった.

重力異常は三瓶山のカルデラ地形の特徴を示しており,山頂付近の複雑な構造を反映した低異常,高異常領域もみられた.重力異常から,表層2.2g/m^3,基層2.5g/m^3として3次元解析を行い,基盤標高を求めた.その結果,カルデラ地形による盆地の形状が把握でき,平らな部分が-200m程度(表層厚は約700m),最深部が‐1500m程度(表層厚は約1500m)であることがわかった.