JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 地殻構造

コンビーナ:中東 和夫(東京海洋大学)

[SSS11-P07] 阿武隈山地南部における稠密アレイで記録された地殻内S波反射面のイメージング

*臼田 優太1飯高 隆2五十嵐 俊博2小原 一成2酒井 慎一2中川 茂樹2武田 哲也3 (1.株式会社ユニック、2.東京大学地震研究所、3.国立研究開発法人防災科学技術研究所)

キーワード:いわき、地震計アレイ観測、S波反射面、地殻構造

2011年に三陸沖を震源とするMw9.0の東北地方太平洋沖地震(以下、東北沖地震とする)が発
生し、東北沖地震前後で日本列島の地震活動は大きく変化した。これは東北沖地震の本震時の
すべりと余効変動により、この地域の応力場が変化したことに関係していると考えられる。特
に阿武隈山地南部(福島県南部および茨城県北部)においては地殻内の地震発生数が顕著に増加し
、東北沖地震の1か月後には、福島県浜通りを震源とするMw7.0の被害地震も発生した。阿武隈
山地南部の地殻内の地震の活動域は,特徴的な活動を示し,15㎞より浅い地震活動と15-25㎞の
深さの活動に分けられる。しかし,その発生原因についてはわかっていない。こうした状況を
受け、2011年7月に東京大学地震研究所が中心となり関係機関と連携し63点の臨時稠密アレイ観
測網が展開された。本研究では、2012年1月1日~2012年12月31日の期間に、このアレイ観測網
で記録された深さ10km以浅、Mj2.5~4.0の計123個の自然地震を用いて解析を行った。はじめに
,波形記録にAGC(Automatic Gain Control)による振幅の補正を行い後続波の検出を試みた。そ
の結果、顕著な2つの後続波を確認することができた。この後続波の性質を明らかにするため
に,粒子軌跡解析や直達S波との振幅比較を行った。その結果、この後続波がS波起源の反射波
であることが分かった。また、物理探査で用いられている逆VSP(Vertical Seismic Profile) 解析
を行うことにより、その反射点の位置を調べた。さらに速度構造を仮定することにより走時デ
ータから深度への変換を行い、地殻内における反射面のイメージングを行った。その解析に際
しては気象庁の速度構造(上野・他,2002)を使用した。その結果2つの後続波は、①深さ
15~20kmに位置する地殻内速度境界面、②深さ27~33kmに位置する速度境界面からの反射波で
あることがわかった。深さ27~30㎞に位置する反射面は、この地域の既往の研究結果と比べるこ
とによって、モホ面であることが分かった。また、反射面①と地震の位置関係を調べると、震
源の直下に地殻内反射面が存在し、本地域での地震活動活発化は反射面①の直上で始まったこ
とが分かった。さらに詳しくいうと、この反射面は、この地域の地震活動の特徴の一つである
15-25㎞の深さの活動域とよく一致し、この深さで発生する地震の発生原因と大きく関係してい
る可能性が示唆される。さらに、地殻内反射面からの反射波の振幅が大きいことや、本地域で
行われた先行研究によって示唆される地殻内流体の存在位置と良い一致を示していることから
、この反射面①は地殻内流体を含む層からの反射波である可能性がある。今後、傾斜補正や本
地域で調べられた速度構造を考慮しながら、より精度の高い反射面の位置を推定していくとと
もに地震の成因の解明を進めていく。