JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS13] 地震活動

コンビーナ:吉田 康宏(気象庁気象大学校)

[SSS13-02] 1995年択捉島沖地震(Mw7.9)に先行した地震活動の長期静穏化

*渡部 真実1勝俣 啓1 (1.北海道大学大学院理学研究院附属地震火山研究観測センター)

キーワード:地震活動の静穏化、1995年択捉島沖地震

巨大地震の前の前兆現象については、電磁気的な変化や地殻変動の変化、また地震活動の変化など様々な例が報告されている。地震活動の変化の一例として、地震活動の静穏化があげられる。静穏化とは、巨大地震の前にその領域で地震活動が減少する現象を指す。地震前の静穏化については、メカニズムはよく分かっていないものの、大地震の前に震央付近で強い静穏化が起きていることを示すことができれば、静穏化と地震の因果関係を証明できるかもしれない。

本研究では、P値と呼ばれる値を使い、1995年に発生した択捉島沖地震(Mw7.9)に先行した地震活動の静穏化の解析を行った。択捉島沖は太平洋プレートがオホーツクプレートの下に沈み込むことによるプレート境界型の地震の多発領域で、1995年択捉島沖地震の他にもM7.5以上の地震が多発している。本研究の静穏化の指標となるP値はポアソン分布から求められ、あるグリッドにおいて平均地震発生数に比べて地震が発生していない期間が続けば、その時のP値は小さい値となる。択捉島沖の各グリッドについてP値の時空間マップを作成した。解析の結果、1995年択捉島沖地震の発生前に震央近くでP値が3.14×10^(-4)という非常に小さい値を示した。また震源付近の積算数の時間変化や時空間プロットからは、1995年択捉島沖地震の約10年前から急激な地震活動の減少がみられた。こうした解析結果から、1995年択捉島沖地震前には静穏化がみられたと結論付けた。また1978年択捉島沖地震(Mw7.5-Mw7.8)、1991年ウルップ島沖地震(Mw7.6)、1994年北海道東方沖地震(Mw8.3)など、領域内で発生したMw7.5以上の地震についても地震発生前に震央付近でP値が小さい値をとっていたことが分かった。