JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS13] 地震活動

コンビーナ:吉田 康宏(気象庁気象大学校)

[SSS13-05] 大地震の統計的モニタリングと予測の実施: California M7.3 Ridgecrest地震までの例

*尾形 良彦1近江 崇弘2 (1.大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 統計数理研究所、2.東京大学生産技術研究所)

キーワード:階層的時空間ETASモデル、前震確率、リアルタイム余震確率予報、余震活動の時空間的不均質性、Searles Valley地震の余震

2019 M7.1 Ridgecrest地震前のM6.4 Searles Valley地震の余震列を検討することにより、一般的に、進行中の地震活動のリアルタイム震源記録を使用して、短期予測や活動の直截的な統計分析を例示し、それらの実行可能性を示す。

先ずHIST-ETASモデルによって、時空間活動の短期予測がリアルタイムで実行される。 連続的に変化する地震列の予測の表示から、活動が時間経過とともにどのように成長または移行するかをモニターする。また広領域の背景地震活動率(バックグラウンド率)は大地震の長期確率を得るのに極めて有用であることが日本内陸部および全カルフォルニア領域で明示される。しかも当該領域は南カリフォルニアと周辺の地域では、バックグラウンド率が非常に高いことがわかる。

第二に、最初の強い地震がさらに大きな地震の前震であるかどうかを評価すると、予めの調査によれば当該領域は南カリフォルニアで特に高い確率であった。

第三に、本震直後のデータ取得の悪条件にもかかわらず、初期の余震の短期的な確率予測が非常に望まれている。実際、M6.4 Searles Valley地震の余震は、2016年のM7.4熊本地震の前震列のように、間もなく大きな本震が起こる可能性が高かった。

最後に、大森宇津式またはETASモデルの発生率に応じて時間経過速度を伸縮することにより、余震活動の非定常性を定常化し、その上で空間分布の不均質性を直截的に観察する。局所的な静穏化、活性化、活動度のマイグレーションなどの様な不均質的異常は、大きな余震または近傍の新しい断層の破懐の前に生じる前兆としての確率の評価のために記録し資料化し、将来の確率予測の拠り所にするべきである。ここでは、M7.1 Ridgecrestの前のSearles Valley地震の余震に於ける、そのような空間的異常の特徴を検討する。