[SSS13-P02] 「平成28年(2016年)熊本地震」発生前の震源付近における断層面上のb値の空間分布と時間変化
キーワード:熊本地震、b値、可視化
「平成28年(2016年)熊本地震」の地震活動の中で発生した3つの地震を対象として、これらの地震の断層面上におけるb値の空間分布とその時間変化の様子を明らかにした。2000年1月から地震発生直前に当たる2016年4月14日00時までの各断層面上のb値の空間分布の時間変化を見ると、14日21時26分のM6.5の地震と16日01時25分のM7.3の地震の破壊開始点の近傍では2005年頃からb値が低くなっていることが把握できるのに対し、15日00時03分のM6.4の地震の破壊開始点の近傍では14日00時時点までb値の低下は見られなかった。
また、これらのb値の分布について、近地強震波形を用いた震源過程解析に基づく各断層面上のすべり量分布と比較したところ、14日のM6.5の地震と16日にM7.3の地震については、b値が低い領域とすべり量が大きな領域が重なる傾向が見られた。この傾向は、Nanjo et al.(2012)が「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」のM9.0の本震の事例で確認した傾向と整合的である。b値の低下が差応力の増加によるものと考えると、特に16日の本震の震源付近では、2005年頃から高い応力を受けていたと考えられる。
また、これらのb値の分布について、近地強震波形を用いた震源過程解析に基づく各断層面上のすべり量分布と比較したところ、14日のM6.5の地震と16日にM7.3の地震については、b値が低い領域とすべり量が大きな領域が重なる傾向が見られた。この傾向は、Nanjo et al.(2012)が「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」のM9.0の本震の事例で確認した傾向と整合的である。b値の低下が差応力の増加によるものと考えると、特に16日の本震の震源付近では、2005年頃から高い応力を受けていたと考えられる。