JpGU-AGU Joint Meeting 2020

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS14] 地殻変動

コンビーナ:落 唯史(国立研究開発法人産業技術総合研究所 地質調査総合センター 活断層・火山研究部門)、加納 将行(東北大学理学研究科)

[SSS14-P07] 面積歪み速度・常時地震活動度の経年変化が示唆する日本海東縁変動帯での長期的余効変動

*小杉 一誠1三井 雄太2 (1.静岡大学大学院総合科学技術研究科、2.静岡大学理学部)

キーワード:日本海、GNSS、ETASモデル、余効変動

東北地方の背弧側、特に日本海の東縁では、マグニチュード8近い規模の地震が頻繁に発生している。この日本海東縁変動帯については、北米プレートとユーラシアプレート間(現在の考えではオホーツクプレートとアムールプレート間に相当)の収束境界・新生海溝という考え(中村, 1983)や、プレート内で断層が多数形成されているひずみ集中帯という考え(岡村, 2002)が提示されてきた。本研究では、近年整備された各種観測網に基づく地殻変動や地震活動データを解析し、2011年東北地震前による擾乱を受ける前、約10年間の日本海東縁変動帯の活動について調べる。
地殻変動解析としては、国土地理院のGNSS観測網GEONETのF3解を用いて、東北地方の面積ひずみの経年変化を調べた。その結果、特に男鹿半島以北において、日本海側に起因すると考えられる圧縮傾向が明らかになった。また地震活動解析としては、気象庁の地震カタログにETASモデル(Ogata, 1988)を適用することで、日本海東縁変動帯における応力載荷率の経年変化を推定した。以上の解析により、日本海東縁では、二つの大地震(1983年日本海中部地震、1993年北海道南西沖地震)の長期的な余効変動が2010年頃まで継続していたことが分かった。
Fukahata and Matsu’ura (2006)の3次元粘弾性シミュレーション(成層構造)を用いて、この長期余効変動のモデル化を試みた。その結果、日本海東縁変動帯下、特に1983年日本海中部地震震源域の周辺下のアセノスフェア粘性率は、太平洋プレート沈み込み帯のマントルウェッジにおける粘性率ほど小さくないことが示唆された。